プレスリリース
No.4086
2026/05/20
運動促進事業に関する自治体アンケート調査を実施(2026年)

 自治体の運動促進事業は行政主導の運動教室・イベントが主流
​~オンライン・民間施設の利用助成は低水準、効果測定による予算確保がカギ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、全国の157自治体(市区町村)の健康増進および運動促進担当部署を対象にインターネットアンケート調査を実施し、健康増進事業の実施状況、運動促進事業の実施状況、民間フィットネス事業者との連携状況等を分析した。ここでは一部の分析結果を公表する。

2025年度の「運動・身体活動の促進」に関する実施事業
2025年度の「運動・身体活動の促進」に関する実施事業
自治体の運動促進事業の課題と同事業の最大の課題
自治体の運動促進事業の課題と同事業の最大の課題

1.調査結果概要

日本では、少子高齢化の急速な進展に伴い、医療費や介護費の膨張が社会課題となっている。このような状況下において、疾病の発症や重症化を未然に防ぐ予防医療の重要性がこれまで以上に高まっており、国はこの課題に対応するため、自治体、健康保険組合、企業などと連携しながら、健康維持・増進や生活習慣改善を促進する取り組みを進めている。
こうした背景を踏まえ、本調査では、2026年1月~2月に全国の157自治体(市区町村)の健康増進および運動促進担当部署を対象にインターネットアンケート調査を実施し、健康増進事業(運動・身体活動の促進に関する事業)の実施状況、運動促進事業の実施状況、民間フィットネス事業者との連携状況等を分析した。ここでは一部の分析結果を公表する。

2025年度に実施している「運動・身体活動の促進」に関連する事業(以下、運動促進事業)の内容を尋ねたところ(複数回答)、「自治体主催の運動教室・スポーツイベント」が68.2%と全体の約7割を占め、自治体(行政)が直接企画・運営する従来型の施策が依然として主流であることが示された。

次いで「健康ポイント事業(ウォーキングポイント等)」(56.7%)が過半数を超えた。参加者へのポイント付与といった参加動機の創出に有効なインセンティブ型施策として広く普及している一方、ポイント目当ての一時的な参加にとどまる可能性も否めず、行動変容・習慣化につながっているかどうかの検証が今後の課題となる。「通いの場・サロン活動の支援(介護予防)」(51.0%)は約半数を占め、地域の居場所づくりと運動促進を一体的に進める取り組みが多くの自治体で実施されている実状が示された。

​一方、「オンラインを活用した運動支援」(7.0%)と「民間スポーツ施設の利用助成・クーポン配布」(4.5%)の実施は低水準にとどまった。新型コロナウイルス禍を経てオンライン活用への機運が高まったものの、自治体の運動促進事業への定着は限定的である。また、民間フィットネス事業者との連携による住民の運動機会拡大というアプローチはまだ黎明期であることが示唆されるが、この背景には予算確保の難しさがあるものとみる。自治体において運動促進事業を通じた健康維持増進や生活習慣改善を促すには、予算確保のための定量データによる効果測定が必要であることから、民間事業者から医療費・介護費の削減効果など十分な効果を示すことができれば、予算確保への検討の余地が見込まれ、普及を促進する可能性の大きい領域でもあると考える。

2.注目トピック

自治体の運動促進事業の最大の課題は「参加者数が伸びない」~集客・参加者層拡大に向け、民間連携に期待~

運動促進事業における課題(複数回答)およびその中での最大の課題(単数回答)について尋ねたところ、、「参加者数が伸びない」が課題で59.9%、最大の課題で30.5%と、ともに首位を占め、自治体の運動促進事業が抱える最も根本的な問題として示された。背景には、健康増進事業のターゲット層を明確に選定していない自治体や、既存の参加者層(健康意識の高い層や自治体の広報への関心が高い層)への訴求にとどまり、本来アプローチすべき運動習慣のない層や就労世代への浸透が図れていない可能性があると考える。参加者数の伸び悩みを解消するには、ターゲットの明確化と、そのターゲットに合わせた事業設計や情報発信の仕方など広報戦略の見直しが不可欠である。

「事業の効果測定が難しい」は課題では47.8%と2 位だが、最大の課題では17.6%と「予算不足」と並んで3 位という結果であった。また「人材不足」は課題では45.9%、最大の課題では22.1%と高い回答率であり、自治体の構造的な制約が示唆される。


本調査結果から、多くの自治体では効果測定の困難さを認識しつつも、日々の事業運営における人材不足や予算制約も切実な問題であることを示している。しかし、効果測定ができなければ事業改善のための検証ができず、それゆえに予算確保の根拠が示せないという意味で、中長期的には最も重要な課題の一つであると考える。

​一方、「民間委託先や連携パートナーが見つからない」は課題として10.2%、最大の課題ではわずか0.8%にとどまっており、連携できるパートナー探しよりも参加者獲得への対応、人材不足による制約、効果測定のための根拠データ不足による予算確保の難しさといった内部的な課題の優先度が高いことがうかがえる。

出典資料について

2026年版 ヘルスケア・フィットネス市場の現状と展望 ~ヘルスケア&予防医療としてのフィットネスサービス~

発刊日:2026年03月31日 体裁:A4 271ページ
価格(税込): 198,000円 (本体価格 180,000円)
※本プレスリリースに一部のオリジナル情報を加えたショートレポートもご購入いただけます。

調査要綱

1.調査期間: 2026年1月~3月
2.調査対象: 全国の157自治体(市区町村)の健康増進および運動促進担当部署
3.調査方法: インターネットアンケート調査

<運動促進事業に関する自治体アンケート調査とは>

運動促進事業に関する自治体アンケート調査とは、2026年1月~2月に全国の157自治体(市区町村)の健康増進および運動促進担当部署を対象にインターネットアンケート調査を実施し、健康増進事業(運動・身体活動の促進に関する事業)の実施状況、運動促進事業の実施状況、民間フィットネス事業者との連携状況等を分析した。ここでは一部の分析結果を公表する。

<市場に含まれる商品・サービス>

運動・身体活動を主たる手段とする健康増進・予防サービス、医療機関・保険者・自治体と連携して提供される運動指導・健康プログラム、介護予防・フレイル予防を目的とした機能訓練・運動教室、身体機能の改善・不調解消を目的とする自費型運動サービス(ストレッチ専門店等)

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