2025年の国内車載ソフトウェア市場は8,766億円、2030年には2兆円に達すると予測
~2030年には制御系36.4%、車載IT系13.9%、SDV28.3%、AI-DV21.4%となり、SDVとAI-DVで5割を占める見通し~
ここでは、2030年までの車載ソフトウェア市場規模、制御系や車載IT系、SDV、AI-DVの構成比予測について公表する。
1.市場概況
車載ソフトウェアは、大きく制御系と車載IT(情報)系に分類されてきた。制御系は自動車を電子的に制御する仕組みを担っている。一方、車載IT系は運転席周りのHMI(Human Machine Interface)やナビを中心としたエンタテインメント系、安全運転支援のADAS(先進運転支援システム)をはじめ、さまざまな車載関連システムが稼働する。
そうしたなか、数年前からCASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)に代わり、新たなキーワードであるSDV(Software Defined Vehicle)が注目を集めている。当初はコンセプトであったものの、SDVを前提として設計・開発されたソフトウェア群(SDVソリューション)が、IT系半導体メーカーを中心に2023年頃から相次いで市場に投入されており、その存在感は急速に高まりつつある。そうしたなか、最近ではAIエージェントや生成AIをはじめAIの活用が活発化、AI-DV(AI Defined Vehicle)への進化に向けた動きが勃興しつつある。
国内車載ソフトウェア市場規模は2021年で6,203億円となり、内訳は制御系が74.7%、車載IT系が19.2%、SDVは6.1%となった。2023年の同市場規模は7,096億円となり、制御系が67.5%、車載IT系が21.1%、SDVが11.4%となり、徐々に制御系の比率は低下、車載IT系やSDVの比率が高まってきている。
そして2024年の同市場規模は前年比110.9%の7,870億円で、制御系が60.6%、車載IT系とSDVの合計で39.4%と、ほぼ半々の構成比となってきていることが分かる。制御系の構成比は2022年以降、減少傾向にある。
直近2025年は8,766億円で、前年比111.4%となる見込み。構成比は、制御系が56.2%となり、車載IT系とSDVの合計で43.8%と急速に伸長してきている。また、SDVソリューションが車載IT系を包含していく時期に当たることから、同年の車載IT系とSDVは概ね半々となる見込みである。
2.注目トピック
モビリティサービスはBtoB領域から立ち上がり、BtoC領域はLevel.3以降に本格化
モビリティサービスとは、車両の状態や周囲の道路状況など多彩なデータを各種センサからOTA(Over the Air)を通じて取得、分析を通じて生み出すサービスをさす。大きく分けてBtoBビジネスとBtoCビジネスで区分できる。
こうしたモビリティサービスとしてアプリケーション開発などを手掛ける際には、日本自動車工業会による自主規制をはじめ、安心・安全の観点から幾つかの制約条件が設けられており、開発に際しては注意が必要となる。
そうしたなか、規制の多くは自動車事故を抑制するためのものであるため、直近ではデータを活用したBtoBビジネスから立ち上がるものとみる。BtoBビジネスの立上げにあたっては、「OEMのみが持つデータの活用」がポイントとなる。
他方、BtoCビジネスは、自動運転レベルのレベル3(条件付自動運転)の実現を発端として、エンタテインメントを含めたアプリケーションによるBtoCビジネスが日本において立ち上がり始めると考える。なお、レベル3はシステムによる運転操作を一定の条件下で実行しつつ、作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に運転者が適切に対応するレベルをさす。
3.将来展望
車載ソフトウェアは、試行錯誤で進めることが多く、実際に国内大手OEMを中心に現在、ビークルOS(車両に搭載されるオペレーティングシステム)および周辺システムについて急ピッチで開発を進めている。一部車両にビークルOSの一部を搭載する動きがあるものの、本格的に成果として現れるのは2027年~2028年頃とみる。そしてAI-DVについては2026年頃からAIエージェントやエッジAIなどに係る開発が出始めていることから、2028年に1,205億円、2030年には4,458億円へと急伸していくと予測する。
加えて、統合ECU(車両個別に搭載されていた複数の電子制御ユニットを、1つまたは少数の高性能なECUにまとめて制御する仕組み)への収斂と相まって、車載ソフトウェア(自動車会社、自動車部品サプライヤー等)市場における制御系や車載IT系、SDV、AI-DVの構成比について、車載IT系は一部残るものの、SDVに包含されていくなか、2027年には車載IT系およびSDVの構成比は概ね半々程度になるものとみる。
また、SDVに向けた研究開発投資は2028年頃には落ち着きつつある一方、AI-DVに係る投資が2026年から徐々に立ち上がり始め、以降は2028年に1,205億円と急伸し、SDVの研究開発費と拮抗する程度にまで達するとみる。こうしたことから、2028年には制御系や車載IT系、SDV、AI-DVを合計した市場規模は1.5兆円、2030年には2兆円に達する形で急速に伸びていくと予測する。
出典資料について
2026 AI-DV(AI定義車両)市場の実態と展望 ~SDV/車載ソフト市場の構造大変革、産業OS・都市OS化を目指す未来~
価格(税込): 275,000円 (本体価格 250,000円)
調査要綱
2.調査対象: 自動車会社、自動車部品サプライヤー(Tier1等)、車載用ソフトウェア開発ベンダー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材(オンラインを含む)、ならびに文献調査併用
<車載ソフトウェアとは>
車載ソフトウェアは、大きく制御系と車載IT系に分類される。
制御系は、「走る・曲がる・止まる」などの各機能を担うECUユニット(CPU)から構成され、自動車を電子的に制御する仕組みを担っている。一方、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric) を志向したSDV(Software Defined Vehicle)を前提として設計・開発されたソフトウェア群を、本調査では車載IT系ソフトウェアと定義する。
<車載ソフトウェア市場とは>
本調査における車載ソフトウェア市場とはECUなどの制御系やCASEを志向した車載IT系、SDVソリューション、AI-DVに係る車載ソフトウェアを対象とし、 自動車会社(OEM)や自動車部品サプライヤー(Tier.1等)が自社で開発する車載ソフトウェア費用や研究開発費、設備投資費用などから金額規模を算出した。
お問い合わせ先
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。
