POCT市場に関する調査を実施(2025年)
2024年度のPOCT市場規模は前年度比63.0%の1,725億円
~新型コロナウイルス感染症関連需要は縮小も、CoV-Fluコンボ型製品の活用は臨床現場で定着~
1.市場概況
2024年度の国内POCT市場規模(10分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比63.0%の1,725億円となった。
本市場のここ数年の動向は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を背景に、抗原検査キットや遺伝子POCT製品の需要が急拡大し、2022年度には市場規模が3,000億円規模に達した。2023年度以降は、COVID-19の感染症法上の位置づけが5類へ移行したことを受け、自治体備蓄や公費関連需要が縮小し、2024年度は特需縮小の影響を強く受けた。
一方で、医療機関における新型コロナウイルス検査需要は一定水準を維持している。特需は落ち着いたが、臨床現場におけるインフルエンザとの鑑別需要を背景に、POCT市場は診療現場に根差した継続需要へ移行している。
2.注目トピック
CoV-Fluコンボ型迅速抗原検査キットの活用が臨床現場で定着
イムノクロマト法臨床検査キットは、国内POCT市場における主要セグメントの一つである。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行期には、新型コロナウイルス抗原検査キットの需要が市場を大きく押し上げた。その後、自治体備蓄や公費関連需要は縮小し、市場は調整局面に移行している。
調整局面にあるなかでも、医療機関における新型コロナウイルス検査需要は一定程度継続している。2024年度は、インフルエンザ流行の再開や新型コロナウイルスとの同時流行を背景とした需要拡大を経て、発熱患者に対する初期診断やインフルエンザとの鑑別を目的としたCoV-Fluコンボキットの活用が、臨床現場で定着しつつある。
発熱や呼吸器症状を呈する患者では、症状のみで原因病原体を鑑別することが難しく、インフルエンザ、COVID-19、RSウイルス感染症などでは、患者に応じた早期の診療判断や感染対策が求められる。このため、主要メーカーでは、CoV-Fluコンボキットを含めた各種呼吸器感染症向けの単項目検査キットのラインアップに注力している。今後は流行状況や診療現場に応じた使い分け提案が重要になるとみられる。
3.将来展望
今後のPOCTは、単なる院内迅速検査の拡大にとどまらないものと考える。従来の検体検査システムは病院内検査室や臨床検査センターの大型装置で処理することを前提に構築されてきたが、今後は患者に近い場所で完結する検査の仕組みが徐々に広がる可能性があることから、クリニック(開業医)の重要性が一段と高まるとみる。これに伴い、医薬品卸売事業者からクリニックへの流通、導入後の保守体制の再編、即時性が必要な疾患項目は病院内検査(POCT)、集約的処理が適する項目は受託検査といった役割分担、さらには患者に近い検査提供体制までを含めて、その裾野が広がる方向にある。
また様々な感染症に限らず、慢性疾患管理や予防医療の領域でも、患者近傍での検査ニーズが高まるとみられる。糖尿病、心不全、腎疾患、炎症マーカーなど継続的な把握が求められる領域では、患者に近い場所で検査し、その結果を診療やフォローアップに結びつける仕組みへのニーズが拡大する余地がある。
新型コロナウイルス抗原検査キット市場は特需期のような水準には戻らないものの、呼吸器感染症診療の一部として一定市場は継続するとみられる。新型コロナウイルスは5類感染症移行後も複数回の流行波を繰り返しており、インフルエンザや溶連菌、アデノウイルス、RSウイルス、マイコプラズマ肺炎など、他の感染症も含めた初期鑑別ニーズは高まる方向にある。クリニックの各種ウイルス等の高感度検出、マルチ項目検出により一度の検体採取で複数の疾患を検査可能にすることで、患者負担を軽減することや、診療時間の短縮を実現することが期待される。また、CoV-Fluだけでなく、複数疾患検出のための新たなコンボキットの開発、供給が今後の焦点となる。
出典資料について
2025年版 POCT市場の展望
価格(税込): 165,000円 (本体価格 150,000円)
調査要綱
2.調査対象: 国内の臨床検査薬・機器展開企業(日本企業および海外日本法人)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに電話・eメールによるヒアリング、文献調査併用
<POCT(point of care testing:臨床現場即時検査)市場とは>
POCT(point of care testing:臨床現場即時検査)とは、医療機関等で行う検体検査(血液、尿、便、組織など)のうち、病院の中央検査室や外部の検査センターではなく、診療・看護などの医療現場のスタッフが患者の傍らで迅速に実施する検査である。
本調査におけるPOCT市場規模は、①グルコース分析装置、②HbA1c分析装置、③生化学分析装置、④血液ガス分析装置、⑤血球計数装置、⑥血液凝固測定装置、⑦イムノクロマト法臨床検査キット、⑧免疫測定装置、⑨尿試験紙、⑩遺伝子検査装置などの10分野の臨床検査薬・機器を対象として、事業者売上高ベースで算出した。但し、グルコース分析装置には、血糖自己測定器製品を含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
①グルコース分析装置、②HbA1c分析装置、③生化学分析装置、④血液ガス分析装置、⑤血球計数装置、⑥血液凝固測定装置、⑦イムノクロマト法臨床検査キット、⑧免疫測定装置、⑨尿試験紙、⑩遺伝子検査装置などの臨床検査薬・機器
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