偏光板・部材フィルム世界市場に関する調査を実施(2026年)
2026年の偏光板世界生産量は前年比102.2%の約6.7億㎡までの拡大を予測
~2026年初頭より続く高需要は半導体メモリ不足・価格高騰による前倒しパネル生産需要~
1.市場概況
2025年の偏光板世界市場規模(メーカー生産量ベース)は、前年比104.4%の66,010万㎡/年、LCD(Liquid Crystal Display)タイプ別ではTFT/AMOLED向けが圧倒的で全体生産量のうち99%を占めたと推計する。
2025年第1四半期(2025年1月~3月)には関税の前倒し需要が一部みられた。これは米国トランプ関税が発令される直前である2月下旬~3月頃に、関税率変動の影響を最小限にするための動きであり、TVパネルのほか、スマートフォン向けなどの前倒し出荷が発生した。しかし、この駆け込み対応はセットメーカー側の在庫で対応するケースが多く、実際に偏光板マーケット(世界市場)に影響を及ぼすオーダー量(需要量)の拡大には時間がかかるため、第1四半期(2025年1月~3月)での偏光板需要拡大に前倒し需要は一部貢献したが、関税発令は直後の4月初頭からであったため、前倒し需要は長くは続かなかった。
2025年の第1四半期(2025年1月~3月)~第3四半期(2025年7月~9月)半ばにかけては、中国が奨励する「電子デバイス向け補助金支援制度」向け需要であった。補助金対象の範囲は広く、高透過・省エネTVモデルのほか、教育用ノートブック、スマートフォンなど、海外製も10万円以下であれば補助金対象とされたため、第1四半期(2025年1月~3月)~第3四半期(2025年7月~9月)半ばまで同補助金向けが偏光板市場を支えた。
偏光板世界市場全体では、2025年第1四半期(2025年1月~3月)から中国における電子デバイス機器向け補助金支援制度下においてディスプレイパネル市場は動き出し、TVパネルの生産は第2四半期(2025年4月~6月)には生産量のほぼ上限に達するほどの勢いで生産拡大が続いた。なかでも主な補助金対象となる高透過・省エネTVモデルの生産量が増加し、大型インチを中心としたハイエンドモデルのTVパネル向け偏光板需要が急増する結果となった。
2.注目トピック
半導体メモリ価格高騰によりミドルローエンドモデルのノートブックやタブレット端末の生産縮小へ 、中国マーケット向けローエンドモデルのスマートフォンの生産量は大幅に減少する見通し
2026年のノートブック世界市場はマイナス成長とされ、中小型モバイル機器においても市場縮小の見通しとされる。 ハイエンドモデル製品群は元々の単価が高いため、半導体メモリが部材全体の原価に占める割合が比較的低く、現在起きているメモリ価格高騰の影響を受けにくいが、ローエンドモデル製品群になると、チップ部材が部材全体に占める割合が高く、メモリ価格高騰下においては生産するだけ収益悪化につながるため、2026年においてはローエンドモデル製品向けの偏光板生産量は大幅に減少する見通しである。
スマートフォン、タブレット端末、車載用を含む中小型向けはブランド力の強いハイエンドモデルのスマートフォン向け、クルマ(完成車)在庫向け需要で安定した物量を維持できるとみられる一方で、中国マーケットなどでボリュームを確保していたローエンドモデルスマートフォン向け偏光板生産量は大幅に減少する見通しである。 上述のとおりローエンドモデルに占めるチップ部材の原価に占める割合が高く、生産すればするほど収益悪化につながるため、メモリ価格が落ち着くまでローエンドモデル向け偏光板市場は縮小したままとみられる。
3.将来展望
2026年の偏光板世界市場規模(メーカー生産量ベース)は前年比102.2%の67,460万㎡を予測する。2026年初頭から続く半導体メモリ価格高騰によるTVパネル向け前倒し需要が上期を支えるも、下期からはTVパネル向け需要は反動減が想定されるほか、同年においてはミドルローエンドモデル製品群の生産が縮小されている形で展開されるとみられるため、偏光板世界生産量は大きく拡大しない可能性がある。
半導体メモリ不足や価格高騰を回避するための在庫確保需要は2025年12月から拡大したが、2026年下期においても半導体メモリ価格高騰が引き続き予想されるため、2026年上期で一定量の在庫を確保すべく、2026年初頭よりセットメーカー、パネルメーカー側でのフル生産が続いている。
こうしたTVパネル向けの前倒し需要は4月にピークを迎え、一定在庫を確保したセットメーカー、パネルメーカー側での生産体制は落ち着き、5月末からは高いパネルメーカーの生産ライン平均稼働率は低下しはじめると予測する。
出典資料について
2026年版 偏光板及び部材フィルム市場 Annual Report
価格(税込): 275,000円 (本体価格 250,000円)
調査要綱
2.調査対象: 偏光板メーカー、位相差フィルムメーカー、PVA保護フィルムメーカー、表面処理フィルムメーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<偏光板市場とは>
偏光板とは、特定方向に偏光又は偏波した光だけに限って通過させる板であり、ディスプレイ向けに使用される偏光フィルムをさす。偏光板は全てのディスプレイに使用される主要部材であるため、ディスプレイ市場が拡大していくに伴い偏光板市場も成長していく。本調査における偏光板市場とは、LCD-TFTパネル向け、AMOLEDパネル向け、PM-VAパネル向けの偏光板のほか、TN-LCDパネル向け、STN-LCDパネル向けを加えて、メーカー生産量(万㎡)ベースで算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
偏光板、主要部材フィルム(位相差フィルム、PVA保護フィルム[保護側:Outer側]、表面処理フィルム等)
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