プレスリリース
No.4137
2026/07/30

感覚センシング(触覚、味覚、嗅覚)世界市場に関する調査を実施(2026年)

重要さを増す感覚センシング
~2025年から2035年に向けての世界市場規模は年平均成長率(CAGR)27%成長を予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、感覚センシング(触覚、味覚、嗅覚)の世界市場を調査し、現況、製品開発・技術動向、参入事業者の動向について明らかにした。

感覚センシング(触覚・味覚・嗅覚)世界市場規模予測
感覚センシング(触覚・味覚・嗅覚)世界市場規模予測

1.市場概況

2025年の感覚センシング世界市場規模(触覚、味覚、嗅覚)はメーカー出荷金額ベースで、286億円を見込む。

感覚センシング世界市場を牽引しているのは、ハプティクス(触覚・力覚・感圧)領域である。これは「センサ(感じる仕組み)」や「アクチュエータ(伝える仕組み)」などのリアルな感触を生み出す技術によるデバイス(機器)を中心としており、特に、スマートフォン向け振動アクチュエータを筆頭に、車載用や医療、FA(Factory Automation)・協働ロボットへの搭載が本格化している。2025年にはロボット向けハプティクス分野が大きく成長しており、特に人手不足が深刻な建設や製造、介護現場での自動化、遠隔操作を支える中核技術として社会実装が進んでいる。

一方、味覚センサや嗅覚(におい)センサは、感覚センシング(センサ)世界市場全体における構成比は僅かだが、独自の進化を遂げている。味覚センサは食品・飲料分野を中心に、職人の技術伝承や「食のデータ化」のニーズを捉えて普及している。食品業界や外食業界において、味の共有(引継ぎ、伝承)は徹底したレシピ管理やマニュアル化された調理方法が採られる場合は問題ないが、概して職人技術は暗黙知である場合が多いことから、味覚センサによるデータ化を行うことで味の共有を実現していくことが求められている。

嗅覚センサは成分分析の難しさや収益性の課題を抱えつつも、介護・医療や生活環境分野で実用的な活用事例が出てきている。
介護分野ではベッドに敷くだけで排泄のにおいを検知できるにおいセンサを活用したアプリケーションが製品化されており、介護の効率化などの利便性を生んでいる。
また、生活環境分野では、駅のトイレのにおいを識別できるにおいセンサにより、衛生状況を把握することで清掃作業の効率化につなげている。

2.注目トピック

未来の生活を一変させる技術として注目高まる味覚センサ

近年、味覚センサは概して一般的に認識されるようになり、主に食品業界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)や、AIを活用した食味の数値化・可視化のトレンドにおいて、注目度の高いテーマを支えるセンサ技術である。

この背景には味覚センサが、人間の舌の味蕾の仕組みを模倣し、甘味、旨味、塩味、酸味、苦味の基本5味を電気信号の電圧変化として数値化することを可能にする技術であることから、すでに特定の産業分野での実用化が急速に進んでいるということがある。特に食品などの商品開発において、自社製品の味の数値化や競合品との違いをレーダーチャートで視覚化している事例がある。
また、官能評価(Human Sensory Evaluation)に頼らず、味を数値化して取得できるため、品質の均一化や客観的な商品比較が可能になり、食品・外食分野などでの活用が想定される。味覚センサは未来の生活を一変させる技術として、様々な需要分野での活用が期待されている。

3.将来展望

味覚と嗅覚は近しい感覚であり、互いの高い親和性から、食品や化粧品、薬品などにおいて、複数組み合わせられた総合的な感覚を戦略的に刺激するような商品が多く上市されている。これら商品の開発は機械による評価や分析も行われるものの、人間による官能評価(Human Sensory Evaluation)が支えていることが多い。しかも、現在の味覚・嗅覚センサは人間の感覚を超えることは難しく、専門性や経験知から人間が行っていくことが最も高い経済合理性がある。

しかしながら、今後、専門人材の不足や技術伝承などの課題が深刻化することは明確であり、一部企業においては積極的にセンシング技術の研究・開発と共に、センシング技術を活用した商品開発が行われている。こうしたなか、触覚・味覚・嗅覚におけるセンシング技術が今後更に進展し、実用化されていくとみられることから、2035 年の感覚センシング世界市場規模(触覚、味覚、嗅覚)はメーカー出荷金額ベースで、3,180億円に成長すると予測する。

出典資料について

2026年版 感覚センシング市場の現状と展望 ~触覚・味覚・嗅覚~

発刊日:2026年05月29日 体裁:A4 342ページ
価格(税込): 330,000円 (本体価格 300,000円)
※本プレスリリースに一部のオリジナル情報を加えたショートレポートもご購入いただけます。

調査要綱

1.調査期間: 2025年6月~2026年3月
2.調査対象: 磁気/音波/機械・物理センサ関連事業者、味・においセンシング素子/センサメーカー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話やメールによるヒアリングならびに文献調査併用

<感覚センシング(触覚・味覚・嗅覚)世界市場とは>

感覚センシングとは人間の五感に近いとされるセンシング技術であり、本調査における感覚センシングは触覚、味覚、嗅覚(におい)を対象とし、世界市場規模はメーカー出荷金額ベースで算出している。触覚、味覚、嗅覚の詳細は以下参照。

【触覚/ハプティクス】
触力覚センサ、感圧センサ、振動アクチュエータ、ソフトアクチュエータ、静電アクチュエータ、空中ハプティクスなどのハプティクスデバイスである。
なお、ハプティクスとは、「センサ(感じる仕組み)」や「アクチュエータ(伝える仕組み)」などのリアルな感触を生み出す技術である。

【味覚/味】
味覚センサは主にポリ塩化ビニルを主体としたものに可塑剤と数種類の脂質を加えて膜化した、舌の生体膜を模した人工の脂質膜である。これにより人間の舌の味蕾の仕組みを模倣し、甘味、旨味、塩味、酸味、苦味の基本5味を電気信号の電圧変化として数値化することを可能にする。

【嗅覚/におい】
嗅覚(におい)センサは非特異的な電子センサの配列とパターン認識システムで構成される機器をさし、いわゆるにおいの強弱を測定する装置ではなく、(におい分子によるパターン認識により)においを識別することができる装置である。なお、においの強弱だけを測定するものは対象外であり、ガス警報器やアルコールチェッカーなどの特定ガスの検知をする装置も対象外である。また、ガスクロマトグラフィーのようにガス成分を分解して解析するような分析装置機器を除く。

<市場に含まれる商品・サービス>

ハプティクス、味覚・嗅覚(におい)センサ、センサ素子、消耗品、サービス、コンサルティングなど

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