ECプラットフォーム市場に関する調査を実施(2026年)
2025年度の国内ECプラットフォーム市場規模は前年度比5.8%増の約2,398億円
~生成AI活用が本格化、AIエージェントによるEC運用の自律化やAgentic Commerceへの対応が新たな競争領域に~
1.市場概況
国内ECプラットフォーム市場は、EC(電子商取引)利用の定着や企業のDX推進を背景に拡大を続けている。近年はSaaS型ECプラットフォームの普及に加え、オムニチャネル(実店舗やECなどのあらゆる販売チャネルや流通チャネルを統合したデータ連携)対応や越境EC支援、データ活用支援などサービス領域の拡大が進んでいる。また、生成AIを活用した商品情報の生成や顧客対応、顧客情報や販売データ等を活用したマーケティング支援機能の実装も進み、EC事業者による業務効率化や顧客体験向上に向けた投資が活発化している。
一方で、新型コロナウイルス禍を契機とした新規ECサイト構築需要は一巡し、ECプラットフォーム市場は成熟化の局面を迎えている。そのため、市場成長の中心は新規導入から既存ECサイトのリニューアルや機能高度化、データを活用したマーケティング支援へと移行している。特に中堅・大手企業を中心としたリプレース(入れ替え)案件や企業間取引(BtoB向け)案件の増加により、EC事業者1社当たり売上高(ARPU)は向上しており、市場成長を支える要因となっている。
さらに、生成AIやAIエージェントの進展に伴い、AI対応基盤(AIがサイト内検索や情報収集をし、当該情報を適切に選択できるようにするための共通の仕組み)やデータ活用能力、API(Application Programming Interface)連携やMCP(Model Context Protocol)※への対応力などが新たな競争要因として重要性を増している。AIエージェントやAgentic Commerceへの関心も高まっており、市場環境は新たな変化の局面を迎えている。
以上のことから、2025年度の国内ECプラットフォーム市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比105.8%の2,397億5,000万円と推計した。
※MCP(Model Context Protocol)とはAIとEC(電子商取引)システムなどを接続するための標準プロトコルで、商品情報や在庫情報、注文情報などをAIへ適切に提供するための基盤技術であり、Agentic Commerce時代における重要な連携技術として注目されている。
2.注目トピック
Agentic Commerceがもたらす新たな購買チャネルの形成
本調査では、Agentic Commerce市場を「AIエージェントが消費者に代わって商品またはサービスの探索、比較、予約、購入を支援または実行する一般消費者向け(BtoC)EC取引市場」と定義する。
日用品や消耗品などの日常的(定型的)な購買領域ではAIエージェントの活用が進展する一方、ブランド価値や体験価値が重視される領域では従来型ECサイトの重要性が維持されると考える。そのため、今後は「効率性を重視するAgentic Commerce」と「体験価値を重視する従来型EC」が併存する市場構造へ移行していくものとみる。
このような背景から、Agentic Commerceは既存ECを代替するのではなく、新たな購買チャネルとして段階的に市場が拡大していくものと予測する。
国内Agentic Commerce市場規模(AIエージェント経由の一般消費者向け(BtoC)EC取引額ベース)は、2026年度の1,500億円から2030年度には3兆円規模へ拡大し、2026年度~2030年度の年平均成長率(CAGR)は111.5%で推移すると予測する。市場規模は急速に拡大するものの、2030年度時点においても国内一般消費者向け(BtoC)EC市場全体に占める割合は8.9%にとどまる見通しであり、当面は既存ECを補完する新たな購買チャネルとして、日用品や消耗品を中心に利用が拡大していくものと考える。
3.将来展望
国内ECプラットフォーム市場は、一般消費者向け(BtoC)EC市場の成熟化や新規ECサイト構築需要の一巡を背景に、今後も成長を続けるものの、市場成長率はこれまでに比べて緩やかに推移すると予測する。
そのため、今後の市場成長は新規導入需要よりも、既存ECサイトのリニューアルや機能高度化、企業間取引領域におけるDX需要の拡大、オムニチャネル対応、越境EC対応への投資拡大などによって支えられると考える。
また、生成AIやAIエージェントの活用拡大も、中長期的な市場成長の促進要因になると考える。特にAIエージェントの活用が業務支援から業務自律化の領域へと広がることで、ECプラットフォームの高付加価値化が進み、EC事業者1社あたりの平均契約単価(ARPU)の向上を通じた市場規模の拡大が期待される。
さらに、API連携や外部サービスとの連携機能の充実、高いカスタマイズ性を備えたSaaS型サービスの拡大などを背景に、フルスクラッチ型からSaaS型・パッケージ型への移行が中長期的に継続することも、市場全体の安定成長を支える要因になるとみられる。
こうしたなか、国内ECプラットフォーム市場規模は事業者売上高ベースで、2025年度の2,397億5,000万円から、2030年度には2,940億円へ拡大し、2026年度~2030年度の年平均成長率(CAGR)は3.9%で推移すると予測する。
出典資料について
2026 ECプラットフォーム市場の実態と展望 -AIエージェント時代の市場変化とAgentic Commerce-
価格(税込): 220,000円 (本体価格 200,000円)
調査要綱
2.調査対象: ECプラットフォーム事業者、AI技術専業ベンダー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<ECプラットフォーム市場とは>
本調査におけるECプラットフォーム市場とは、ECサイトの構築・運営を支援するプラットフォームおよび関連サービスの市場を指す。対象には、SaaS型/ASP型、パッケージ型/カスタマイズ型、フルスクラッチ型などの構築モデルを含む。なお、ECサイト構築モデル別詳細は以下参照。市場規模はECプラットフォーム事業者売上高ベースで算出している。
また、本調査におけるAgentic Commerce市場は、AIエージェントが消費者に代わって商品またはサービスの探索、比較、予約、購入を支援または実行する一般消費者向け(BtoC)EC取引市場と定義し、市場規模はAIエージェント経由の一般消費者向け(BtoC)EC取引額ベースで算出している。
ECサイト構築モデル別詳細
・SaaS型/ASP型:ECシステムをクラウドサービスとして提供する形態。月額利用料を中心としたサブスクリプション型のビジネスモデルが主流であり、導入のしやすさや継続的な機能アップデートを特徴とする。
・パッケージ型/カスタマイズ型:あらかじめ開発されたECシステムの利用ライセンスを提供し、企業ごとの要件に応じてカスタマイズを行う形態。従来はライセンス販売と保守契約を中心としたビジネスモデルが主流であったが、近年はクラウド環境での提供やサブスクリプション型の料金体系を採用する事業者も増えている。
・フルスクラッチ型:企業の要件に合わせてECシステムをゼロから個別に開発する形態。開発費や保守・運用費を収益源とする受託開発型のビジネスモデルが中心であり、高度なカスタマイズに対応できる点が特徴である。
<市場に含まれる商品・サービス>
SaaS型、パッケージ型、フルスクラッチ型などのECプラットフォームサービス
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