プラスチックリサイクル市場に関する調査を実施(2026年)
2026年の国内におけるプラスチックリサイクル需要量(製品に使用された量)を59万6,000tと推計
~今後は原料となるリサイクル材の価格と用途開発・拡大がカギ~
1.市場概況
本調査では、マテリアルリサイクル(MR)、ケミカルリサイクル(CR)により、再生された樹脂を対象とし、PETボトルや食品容器、自動車、家電品、物流用パレット等の製品にプラスチックリサイクルされた需要量(製品に使用された量)で算出した(国内需要とし、輸出分を除く)。2025年の国内におけるプラスチックリサイクル(再生樹脂)需要量を59万6,000tと推計した。内訳をみると、飲料(PETボトル)が約26万t、食品容器(リジット形状のPET容器とPS食品トレーのみ)は約16万t、自動車は約4万t、家電品は約3万t、物流用パレットは約6万t、その他が約3万tとなった。
清涼飲料の業界団体である一般社団法人全国清涼飲料連合会では「2030年までに使用済みPETボトルを再びPETボトルとして再生するBottle to Bottle(B to B)リサイクル比率50%を目指す」との宣言※1や、自動車業界においては欧州ELV規則※2が2026年7月末に公布、同年8月に発効されるなど、各業界ごとの目標や法規制の施行などが実施されている状況であり、いずれの業界でもリサイクルプラスチック材を積極的に検討、導入している。
また資源有効利用促進法※3が2026年4月に改正され、指定脱炭素化再生資源利用促進製品に設定されたプラスチック容器包装については年間1万t以上、家電4品目は同5万台以上、自動車は同1万台以上の製造または輸入販売している事業者に、2027年度から再生プラスチックの利用推進に関する目標計画の提出と、目標に対しての進捗を国に報告することが求められている。このため、今後国内の資源循環の強化が見込まれる。
※1. 出典:一般社団法人全国清涼飲料連合会「2030年ボトルtoボトル比率50%宣言「ボトルtoボトル東京プロジェクト」報告」(https://www.j-sda.or.jp/news/2021/04/19/post-568/)
※2. 参考文献:Official Journal of the European Union(https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=OJ:L_202601738&qid=1788318719902)
※3. 出典:経済産業省「資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)」(https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/)
2.注目トピック
一般消費者の行動変容を促し、原料となる使用済みプラスチックの回収スキーム構築
プラスチックをリサイクルするためには原料となる廃プラスチックの回収を進めていく必要がある。家電や自動車業界では1990年代から法整備が進められ、現在では回収からリサイクルまでのスキームが構築されている。一方、業界によってはリサイクルに関する法規制が整備されていないが、そうした業界でもリサイクルの動きを加速するべく、ただ単純に回収箱を設置するのではなく、一般消費者が使用済み容器などを持参し回収箱に投入することでポイントが付与されるなど、使用済み製品をゴミとして廃棄するのではなく、資源として回収するという行動変容を促す動きもある。
現在、多くの業界でリサイクルに向けたスキームを構築している段階にあるが、その過程で一般消費者の環境配慮に対して、何らかのインセンティブ(ポイント付与など)を組み込むことができれば、使用済みプラスチックに対する消費者の意識や行動を変え、今後のリサイクルの拡大につながると考える。
3.将来展望
プラスチックリサイクルの活用を広げていくためには一般消費者の行動変容を促しながら、リサイクル材への価格転嫁への対応と用途開発・拡大といった2つの障壁を解決していく必要がある。
価格については、業界によってはリサイクル材使用に伴うコストアップ分の負担を一般消費者に求めるという考え方もあるが、食品や日用品といった生活必需品を扱う業界ではコストアップ分を売価(製品価格)へ転嫁することは難しく、リサイクル材の採用はなかなか進んでいない。こうした状況に企業や業界の自助努力だけで対応するのは難しいため、今後は国から業界に対してリサイクル材採用の補助金などを支給することで、石油由来プラスチックと価格差のあるリサイクル材を使用しやすくするといった施策が求められる。
また、排出されたプラスチックを回収し、樹脂にリサイクルするだけでなく、その先のリサイクル材の用途開発が重要である。プラスチックのユーザー企業はリサイクルプラスチックを使用するにあたって、どのような性能や物性が必要なのかをリサイクラー(再資源化を行う事業者)に伝え、ともに開発を進めることで、リサイクルプラスチックのポジションを「環境対応素材」から「機能性材料」へと引き上げていくことができる。ユーザー企業には、リサイクルプラスチックを使うだけでなく、自ら率先して用途を創出し、発展させることが求められている。
出典資料について
2026年版 プラスチックリサイクル市場の展望と戦略 ~ユーザー編~
価格(税込): 275,000円 (本体価格 250,000円)
調査要綱
2.調査対象: リサイクルプラスチックを使用している企業(自動車、飲料、日用品、化粧品、文具、 OA機器、建設・建築)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)および文献調査併用
<プラスチックリサイクル市場とは>
本調査におけるプラスチックリサイクル市場とは、回収された廃プラスチックを分別、破砕・粉砕、洗浄、異物除去などの工程を経て新たな製品の原料として再利用するマテリアルリサイクル(MR)技術、回収した廃プラスチックを化学的に分解し、新たな製品の原料となる化学原料やモノマー、油、ガスなどに戻してから再利用するケミカルリサイクル(CR)技術のいずれかを用いて製造された樹脂を対象とし、市場規模はプラスチックリサイクル需要量(製品に使用された量)で算出した。なお国内需要とし、輸出分を除く。
また需要量の対象用途は、飲料(PETボトル)、食品容器(リジット形状のPET容器とPS食品トレーのみ)、自動車、家電品、物流用パレット、その他(軟包装材等の食品容器包装、土木資材、建材、農業関連資材、日用品・雑貨、文具等)とする。
<市場に含まれる商品・サービス>
マテリアルリサイクル(MR)及びケミカルリサイクル(CR)技術で再生されたプラスチック製品
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