プレスリリース
No.4192
2026/10/08

ERP市場動向に関する調査を実施(2026年)

2025年のERPパッケージライセンス市場規模は前年比13.1%増の2,020億7,000万円
~Fit to standardに限界。しかしクリーンコアで2027年にはSaaSのみ市場が3割に~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のERPパッケージライセンス市場を調査し、参入企業やユーザー企業の動向、将来展望を明らかにした。

ERPパッケージライセンス市場規模推移・予測
ERPパッケージライセンス市場規模推移・予測

1.市場概況

2025年のERPパッケージライセンス市場の伸びは、2024年よりも落ち着いた。インボイス制度への対応が終わったことや、生成AIの導入を検討する動きが落ち着き、AIエージェント製品や課金モデルの動向を見極めようとする企業が増えたこと、Windows10のサポート終了に伴う優先度の後退などが影響したものとみる。しかし、ERPパッケージライセンス市場は前年比10%を超える成長率を維持しており、成長トレンドは続いている。なぜなら、企業のIT投資意欲は衰えておらず、既存のシステムや保守期限が切れるシステムを入れ替え、時代に即した技術や設計、構造へと刷新する動きが強まり、市場を押し上げているからである。その結果、2025年のERPパッケージライセンス市場規模(エンドユーザ渡し価格ベース)は前年比13.1%増の2,020億7,000万円と推計する。

今後のAI活用を見据え、SaaSを導入するユーザー企業も多い。これはFit to standard(業務内容に合わせてシステムを改変するのではなく、システムの標準機能に自社の業務を合わせる考え方)がユーザー企業に根付き始めていることに加え、Fit to standardを基本としながらも、ユーザー企業独自のカスタマイズを導入し、運用するクリーンコアが広がり始めたことにあると考える。こうした背景から、今後もSaaSの利用は進展していくと予測する。

2.注目トピック

業務の自律実行へ

ERPとAIエージェントの連携が実用段階へと進展していく見通しである。ERPとAIの連携が進むことにより、基幹システムは業務データの正確な記録・管理(System of Record)から、自律的に判断し企業を動かすブレイン(System of Intelligence)としての役割を担うものと考える。ERPは蓄積された情報から、未来の予測や最適な提案を行い、次に何をすべきか、という経営側の意思決定をこれまで以上に支援するシステムになっていく。そのため、AIエージェントが安全に業務を完了できるよう、実績と暗黙知に基づくプロセスを標準化して実装し、加えて、AIがルール通りに仕事を終えたことを確認でき、人が責任を取れる製品の提供が求められている。

もっとも、足元をみると、現在提供されている製品すべてにAIエージェント機能が搭載されているわけではなく、提供されているAIエージェントの段階もさまざまである。今後、複数のAIエージェントが連携し、自律的にタスクを実行する段階や、さらにその先の完全自律型の製品をベンダーが提供するのであれば、ベンダーに求められるものもシステム構築の伴走ではなく、業務そのものの再設計や、AIへの委任判断を支援する伴走へと、その内容が変化していくと考える。

3.将来展望

2026年のERPパッケージライセンス市場規模(エンドユーザ渡し価格ベース)は、2,279億6,000万円(前年比12.8%増)、2021年から2026年までのCAGR(年平均成長率)は13.0%と予測する。2026年に入ってからも既存システムなどからの移行や刷新が続く見通しである。新規パートナー企業の獲得や、既存パートナー企業の対応領域拡大による売上の伸びに加え、AIエージェントを活用するための土台としてERPを新調・移行する動きが市場の成長を後押しすると考える。

AIについてみると、短期的には業種・業界に特化したAIエージェントやAIアシスタントが増加すると予測する。AIを利用する上では、ERPに蓄積されたビジネスの背景や状況(コンテキスト)をどのように活かしていくかが重要になる。データと業務プロセスを理解したAIが競争力を持つと考える。

出典資料について

2026 ERP市場の実態と展望

発刊日:2026年08月27日 体裁:A4 339ページ
価格(税込): 253,000円 (本体価格 230,000円)
※本プレスリリースに一部のオリジナル情報を加えたショートレポートもご購入いただけます。

調査要綱

1.調査期間: 2026年5月~8月
2.調査対象: ERPパッケージおよびSaaSベンダー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用

<ERPパッケージライセンス市場とは>

ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)パッケージとは、財務会計、人事給与、販売管理、生産管理などの基幹業務データを統合する情報システムを構築するための基幹業務管理パッケージソフトウェアを指す。

本調査におけるERPパッケージライセンス市場は、ERPパッケージベンダーのライセンス売上高をエンドユーザ渡し価格ベースで算出した。市場規模には、クラウド型利用[クラウド全体(IaaS・PaaSとSaaSを含む)市場、クラウド(SaaSのみ)市場]を含む。
なお、従来型パッケージではコンサルティング・SI等、保守サポートなどの関連売上高は含まないが、クラウド型利用ではライセンスに保守運用を含む。

<市場に含まれる商品・サービス>

ERPパッケージおよびSaaS

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