プレスリリース
No.4238
2026/10/29

車載SoCの世界市場に関する調査を実施(2026年)

車載SoCの世界市場は、2035年に数量1億8,033万個、金額380億米ドルへ拡大を予測
~高演算性能SoCの需要拡大と機能統合を背景に、数量を上回る金額ベースでの市場成長を予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、車載SoC(System on Chip)の世界市場を調査し、アプリケーション別・AI演算性能別・地域別の市場概況、主要SoCメーカーの製品開発動向、自動車メーカーの採用動向を明らかにした。ここでは、2035年までの車載SoC世界市場規模を数量および金額ベースで予測するとともに、市場拡大の要因やアプリケーション別の動向について解説する。

車載SoCの世界市場規模予測
車載SoCの世界市場規模予測

1.市場概況

2025年の車載SoC世界市場規模は、数量ベースで1億2,899万個、金額ベースで108億米ドルとなった。AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)の高度化やCockpit/IVI(車載情報・エンターテインメントシステム)の多機能化を背景に、車載SoCの搭載数量が増加するとともに、高演算性能SoCの需要が拡大している。

特に、中国ではAD/ADASの中でも高速道路や都市部での走行を支援するL2+高速NOA(Navigation on Autopilot)やL2++都市NOAなどの高度運転支援システムの普及に伴い、AI演算性能の高いSoCの採用が進んでいる。また、Cockpit/IVI分野でも、大型・高精細ディスプレイの採用や複数画面の統合制御、AIアシスタントなどの機能拡充により、SoCに求められる処理性能が高まっている。

さらに、車両のE/E(電気・電子)アーキテクチャは、2030年に向けて上位車種を中心に、従来のドメイン型(機能別に制御装置を配置する構成)から、クロスドメイン型(異なる機能を1つの制御装置に統合する構成)やセントラル型(車両全体の主要な制御・情報処理機能を中央の高性能コンピュータに集約する構成)へと段階的に移行する方向にある。2030年以降もこうした統合化は進むとみられるが、低価格帯の車種(エントリークラス)ではコスト面から従来型の構成が継続するなど、車両セグメントによって採用状況は異なる見通しである。これに伴い、AD/ADASとCockpit/IVIなど複数のアプリケーションを統合処理するSoCの採用も徐々に広がるものとみる。こうした動きを背景に、車載SoC市場では搭載数量の増加に加え、高性能製品の需要拡大が金額ベースでの市場成長につながっている。

2.注目トピック

AI技術の高度化とアプリケーションの統合により、高演算性能SoCの需要が拡大

AD/ADAS分野では、L2+高速NOAやL2++都市NOAの普及に加え、End-to-End(E2E)AI、Vision Language Action(VLA)、World ModelなどのAI技術を活用した運転支援システムの開発が進んでいる。こうしたシステムは、カメラやレーダなどのセンサから取得する大量の情報をリアルタイムで処理し、複雑な交通状況を認識・判断する。このため、車載SoCに求められるAI演算性能が高まっている。

また、Cockpit/IVI分野でも、生成AIを活用した音声アシスタントや車内の状況に応じたサービス提供など、AI機能の高度化が進んでいる。こうしたAI技術の進展に加え、AD/ADASとCockpit/IVIなど複数のアプリケーションを統合処理する動きも、高演算性能SoCの需要拡大につながっている。

特に、数百TOPS級(TOPSはAI演算性能を示す指標)のSoCは、高度なAIモデルを活用するL2++都市NOAや、複数のアプリケーションを統合処理するクロスドメイン型、セントラル型向けを中心に需要の拡大が見込まれる。今後は、AIモデルの高度化や処理対象の増加、SoCの統合化に伴い、高演算性能製品の構成比が高まるものとみる。さらに、中国の新興EVメーカーを中心に、AD/ADAS向けSoCの自社開発が進められている。自社開発のAIモデルやAD/ADASソフトウェアに合わせた設計に加え、演算性能の向上も進んでおり、ハードウェアとソフトウェアを一体で最適化する開発が活発化している。

3.将来展望

2030年の車載SoC世界市場規模は、数量ベースで1億7,471万個、金額ベースで284億米ドルに拡大すると予測する。中国で先行するL2+高速NOAやL2++都市NOAの搭載が米国、欧州、日本にも広がり、AD/ADAS向け高演算性能SoCの需要が増加する見通しである。また、Cockpit/IVIへのAI適用や機能高度化に加え、複数のアプリケーションを統合処理するクロスドメイン型向けSoCの採用拡大も市場成長を支えるとみる。

2035年の車載SoC世界市場規模は、数量ベースで1億8,033万個、金額ベースで380億米ドルに達し、2025年比で金額市場が約3.5倍に拡大すると予測する。2025年から2035年までの年平均成長率(CAGR)は、数量が3.4%、金額が13.4%である。

2025年から2030年にかけては、AD/ADASやCockpit/IVIの高度化により、車両1台当たりのSoC搭載個数が約1.4個から約1.8個へ増加する見通しである。2030年以降は、E/Eアーキテクチャの進化に伴い、複数の機能を統合するクロスドメイン型やセントラル型向けSoCへの移行が進み、搭載数量の伸びは緩やかになる見通しである。

今後は、AI技術の高度化や複数機能の統合に伴い、高演算性能SoCの需要が拡大し、高性能製品の構成比が高まると予測する。これにより、車載SoCの平均販売価格(市場金額を数量で除して算出)は2025年の84米ドルから2035年には211米ドルへ上昇し、2035年に向けて、数量ベースを上回る伸びで金額ベースでの市場成長が続くものとみる。

出典資料について

2026年版 車載SoCの可能性と市場展望

発刊日:2026年09月30日 体裁:A4 112ページ
価格(税込): 220,000円 (本体価格 200,000円)
※本プレスリリースに一部のオリジナル情報を加えたショートレポートもご購入いただけます。

調査要綱

1.調査期間: 2026年8月~9月
2.調査対象: 自動車メーカー、一次部品メーカー、半導体メーカー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用

<車載SoCとは>

車載SoC(System on Chip)とは、情報処理や制御を担うロジック半導体の一種で、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)、GPU(Graphics Processing Unit:画像・並列演算処理装置)、NPU(Neural Processing Unit:AI演算処理装置)などの複数の機能を1つのチップに集約した高機能な半導体である。自動車の「頭脳」に相当する役割を担い、カメラやセンサから得られる情報の処理、運転支援機能の制御、車内ディスプレイの表示、音声認識など、さまざまな機能に使用されている。


本調査では、自動運転・先進運転支援システム(AD/ADAS)向け、車載情報・エンターテインメントシステム(Cockpit/IVI)向け、および複数のアプリケーションを統合処理するCross-domain、Central Compute向けの車載SoCを対象に、世界市場規模を搭載数量および金額ベースで算出している。
なお、Zone Controller(車両の各領域に配置され、電子機器の制御や通信を担う制御装置)向けSoC/MCU(Microcontroller Unit:マイコン)、その他の個別制御用MCU、メモリ半導体、パワー半導体などは対象外としている。

<市場に含まれる商品・サービス>

自動運転・先進運転支援システム(AD/ADAS)向けSoC、車載情報・エンターテインメントシステム(Cockpit/IVI)向けSoCに加え、AD/ADASとCockpit/IVIなど、異なる車載機能を1つのチップで統合処理するSoC

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