プレスリリース
No.3303
2023/09/05
自動車向けヴァーチャルキー市場の調査を実施(2023年)

2023年の国内市場におけるヴァーチャルキー搭載自動車出荷台数は207万4,500台の見込
~世界と比べて普及が遅れる国内市場、電動化の加速とMaaSビジネスの拡大が鍵~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内及び世界の自動車向けヴァーチャルキー(デジタルキー)の動向を調査し、現況や各社の取り組み、将来展望を明らかにした。ここでは国内のヴァーチャルキー搭載自動車出荷台数を公表する。

国内ヴァーチャルキー搭載自動車出荷台数推移
国内ヴァーチャルキー搭載自動車出荷台数推移

1.市場概況

世界の自動車市場では、急速に電動化が進み特に電気自動車(BEV)は中国を中心に欧米市場で普及し始めている。電動化と併せ、コネクテッド化も進んでおり、自動車メーカー各社は最新の車載インフォテインメント(情報・娯楽)システムを標準搭載し、その一環としてスマートフォンのアプリケーションを活用したコネクテッドサービスを開始した。こうした自動車のICT化に伴い、ヴァーチャルキーは緊急自動通報(eコール)をはじめとするコネクテッドサービスにパッケージ化され、組み込まれている。特に米国、EUにおいて緊急自動通報(eコール)が義務化されたのに伴い、ヴァーチャルキーの搭載ペースは加速している。 

一方、日本市場は概してコネクテッドサービスの需要が少ない地域とされる。国土が狭く、命の危険に関わる辺地が少ないこと、車検制度の影響で車両コンディションは比較的良好に維持されていること、走行距離が比較的短いこと、故障に遭ってもディーラー網やロードサービスで対応できることが要因として挙げられ、国内市場においてコネクテッドサービス自体の導入、ヴァーチャルキーの導入、普及は海外市場と比較して遅れている傾向にある。
また、2019年以降にモデルチェンジした自動車の多くはコネクテッドサービスが進んでいるが、国内の自動車メーカー各社におけるヴァーチャルキーの搭載状況は様々である。

2.注目トピック

UWB対応

2019年に大手スマートフォンメーカーの製品に超広帯域無線通信システムUWB(Ultra-Wide Band)が搭載されて以降、他メーカーの製品にもUWBが搭載され始めている。UWBは①高精度な位置測位、②高速データ通信、③高セキュリティ性(他通信との低干渉性)といった特長を持つことから、コネクテッドカーの世界標準化団体CCC(Car Connectivity Consortium)の最新規格デジタルキー3.0(3.0v1.1)では非接触型規格としてUWBとBLE(Bluetooth Low Energy)が追加されている。特にUWB採用により車両の盗難防止対策が強化された。2023年現在、コネクテッドサービスの通信システムとしてUWBの採用は一部のドイツ自動車メーカーに限定されているものの、セキュリティ性の高さから今後採用メーカーの拡大が期待される。

3.将来展望

2023年の国内市場におけるヴァーチャルキー搭載自動車出荷台数は207万4,500台の見込み、2027年には257万8,500台を予測する。

現下、国内需要はそれほど高くないものとみるが、米国、EU、中国を中心とする世界自動車市場におけるヴァーチャルキーを含むコネクテッドサービス採用の進展に伴い、国内の採用事例も増加傾向にある。ドイツ自動車メーカーの乗用車(輸入車)においてはすでにコネクテッドサービスが展開されており、こうしたコネクテッドカーの普及に併せて、国内市場においてもヴァーチャルキーの搭載が進むとみる。また、ヴァーチャルキーはMaaS(Mobility as a Service)ビジネスへの関心の高まりと5G(第五世代通信サービス)の導入が迫るなか、今後、レンタカーやカーシェアリングといったMaaSのプラットフォームとしての役割が期待される。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2023年4月~6月
    2.調査対象: 自動車メーカー、IT関連企業、ODM(Original Design Manufacturing)/EMS(Electronics Manufacturing Service)企業、半導体メーカー等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用

    <自動車向けヴァーチャルキーとは>

    本調査における自動車向けヴァーチャルキーとは、スマートフォンのアプリケーションを自動車の鍵として利用するシステムで、車載機、サーバー、アプリケーションで構成され、「デジタルキー」とも呼称される。ドアの解錠・施錠、エンジンの始動・離れた場所からリモコンでのエンジンスタートや駐車場での自社位置把握が可能で、自動車メーカー純正の車載インフォテインメント(情報・娯楽)システムの一部に組み込まれ、緊急自動通報(eコール)をはじめとするコネクテッドサービスとしてパッケージ化されている。
    なお、本調査における対象車両は軽自動車を含む乗用車、およびトラック、バス以外の商用車とする。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    自動車(新車、カーエレクトロニクス機器)、通信・IT機器(スマートフォン)

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2023年06月29日
    体裁
    A4 136ページ
    価格(税込)
    275,000円 (本体価格 250,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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