プレスリリース
No.3377
2023/12/29
レジャー関連市場における動向調査を実施(2023年)

コロナ禍の影響から脱却に向かうレジャー産業、各市場で回復に温度差

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のレジャー関連産業を調査し、2021年から2022年のレジャー関連市場の動向を幅広くまとめた。

1.調査結果概要

 本調査では、旅行市場から外食市場までの88市場の調査を実施した。一般的にレジャー産業といってもその対象は非常に幅広く、捉え方によっては世の中の全てがレジャーに関連すると言っても過言ではない。本年も国内のレジャー関連産業の動向を取りまとめた。

レジャー関連市場での新型コロナウイルスの影響は大きく、様々な市場が落ち込むこととなったが、さまざまな行動制限の緩和、撤廃に伴って多くの市場が回復に向かっており、深刻な打撃を受けた旅行市場においても政府による観光需要喚起策もあって著しい回復をみせている。
コロナ禍でも好調に推移した音楽配信や有料動画配信サービスなどのオンライン消費は引き続き伸長しており、ネット投票が定着した公営競技も売上を伸ばした。また、コロナ禍において密を避けやすいレジャーとして注目を集めたキャンプや釣りなどの屋外型レジャーについては新たに取り込んだ参加者の定着が課題となっているが、様々な制限緩和に伴って参加者が他のレジャーに分散する動きも見られ、ブームは終焉したとの見方もある。

一方、コロナ禍以前から市場の縮小が続いていたレジャーでは回復が遅れ、今後もコロナ禍前の水準には戻らないと見られるレジャーもある。その代表がパチンコ市場だ。シニア層を中心にコロナ禍を契機に離脱した層が戻らず、2022年1月末を期限とした遊技機規則改正に伴う遊技機の入替(新規則機移行)もパチンコホールの経営を圧迫した。減少が続いているパチンコホール数は2022年の1年間で793店舗減少し、同年末時点で7,665店舗となった。

レジャー関連市場は長期に渡ったコロナ禍の影響から脱却に向かうが、単にコロナ禍前の状態に戻るのではなく、社会生活が日常に戻る過程で求められるレジャーも変化してきている。

2.注目トピック

コロナ禍で加速した旅行市場のデジタル化、アフターコロナでの有効活用なるか

 コロナ禍によって甚大な打撃を受けた旅行市場だが、行動制限の緩和、撤廃によって市場は急速に回復に向かっている。
旅行業者はコロナ禍以前からサービスの提供方法やサービス内容を変革させてきたが、コロナ禍を契機に今まで以上に大きな変革が必要だとし、経費削減に努めるとともに組織の再編を行い、より効率的な業務運営を目指してきた。また、サービス面では “非対面” のニーズが拡大するなど、コロナ禍で店舗運営の在り方の検討が進められるようになり、旅行大手各社はデジタル化を加速して進めた。市場が急回復する過程においては、これまで進めてきたサービスのデジタル化を有効に活用しながら、如何にリアルでのサービスと融合させていくかが課題になる。

これまで中長期的に、じゃらんや楽天トラベルなどの国内OTA(Online Travel Agent:インターネット旅行会社)、Booking.comやExpedia、Trip.comなど海外のOTAによる旅行手配が普及してきた。OTAを利用して旅行を手配する消費者が増えるなか、JTBや日本旅行など店舗を有する旅行会社は、ラグジュアリー空間を特徴とする店舗の新設や、専門ラウンジの開設、丁寧な接客や親身な旅行相談など、OTAとの差別化に取り組んできた。
一方、新型コロナウイルスの影響により、緊急事態宣言の発出に伴う店舗の営業自粛が求められるだけでなく、“非対面” のニーズが拡大したことで店舗運営の在り方の検討が進められるようになり、旅行大手各社は旅行先の相談から予約・手配、旅行中の相談等も全てオンライン上で完結するサービスを提供するなど、デジタル化を加速させた。2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類感染症に移行するなど行動制限がなくなってからも、各社はリモート相談・オンライン相談を受け付けている。リアルの店舗に相談に行く人も増えた一方、店舗ではコロナ禍で予約制に完全にシフトしているところもあり、予約なしの来店者は長時間待たなければならないケースも出てきている。
コロナ禍で進んだデジタル化が、“リアル” に戻った際にも効率化や時間短縮等で効果が発揮されることが期待されるが、そのためには従業員にも消費者にも “リアル” と “デジタル” が上手く融合される全体像を分かりやすく伝える必要があり、現状では効果が最大限に発揮されているとは言い難い状況となっており、今後の取り組みが注目される。

調査要綱

1.調査期間: 2023年4月~8月
2.調査対象: 国内のレジャー関連産業、運営事業者
3.調査方法: 文献調査ならびに当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)

<レジャー関連市場とは>

本調査では、以下のレジャー関連市場を対象とした。

旅行市場(旅行業者、旅行サイト)旅客輸送市場(航空、鉄道、高速バス、観光・貸切バス、クルーズ、フェリー・旅客航路、レンタカー)、宿泊施設(ホテル・旅館、会員制リゾートクラブ、その他の宿泊施設[公営宿泊施設、民宿・ペンション、ユースホステル、カプセルホテル・ゲストハウス、民泊]、テーマパーク・遊園地、その他のレジャーパーク(ウォーターパーク、ファームパーク・観光農園、フラワーパーク・植物園、インドアプレイグラウンド)、ミュージアム(博物館・美術館・ミュージアム、動物園・水族館、フードテーマパーク)、温浴施設、スポーツ観戦・スポーツイベント、博覧会・文化イベント、家庭用・コンシューマゲーム、アミューズメント施設・業務用ゲーム、パチンコ市場、カラオケ市場、公営ギャンブル市場(中央競馬、地方競馬、競輪、ボートレース、オートレース、宝くじ、スポーツ振興くじ[toto])、ゴルフ場、スキー場、フィットネスクラブ・スポーツクラブ、その他のスポーツ施設(ボウリング場、テニスクラブ、フットサルコート、ビリヤード場、バッティングセンター、クライミングジム)、スポーツ用品市場(ゴルフ用品、スキー・スノーボード用品、テニス用品、野球・ソフトボール用品、サッカー・フットサル用品、アスレチックウエア、スポーツシューズ)、アウトドアスポーツ市場(登山・トレッキング、トレイルランニング、オートキャンプ場、ウォーキング、カヌー・カヤック、アドベンチャーパーク)、マリンスポーツ市場(ヨット・モーターボート、サーフィン・ウインドサーフィン、水上オートバイ、スキューバダイビング・スキンダイビング)、釣り市場、モータースポーツ、スポーツ自転車、ランニング、その他のスポーツ市場(ダンス・バレエ、卓球、バドミントン、スケート、ヨガ、ダーツ、スカイスポーツ、ニュースポーツ)、映画市場 、劇場・ホール・興行、映像ソフト・配信市場、音楽ソフト・配信市場、放送市場、習い事教室市場、ガーデニング・家庭菜園市場、外食産業(ファストフード、ファミリーレストラン、その他)

<市場に含まれる商品・サービス>

同上

出典資料について

資料名
発刊日
2023年08月25日
体裁
B5 960ページ
価格(税込)
165,000円 (本体価格 150,000円)

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