2024年の国内食品小売市場を前年比101.8%の53兆4,113億円と推計
~食品小売市場は好調を維持するも、食品スーパー各社は価格訴求力のみに頼らない店づくりが不可欠に~
1.市場概況
経済産業省「商業動態統計調査」によると、2023年の国内食品小売市場規模は52兆4,820億円であった。2024年は業態別の市場動向から前年比101.8%の53兆4,113億円と当社で推計した。国内食品小売市場は2021年から4年連続でプラスで推移している。
内訳をみると、百貨店(飲食料品売上高のみ)は前年比98.9%と減少し、総合スーパー(GMS)・大型食品スーパーが同103.3%、中小型食品スーパー・その他飲食料品小売業は同101.4%と増加した。また、中小型食品スーパー・その他飲食料品小売業のうち、コンビニエンスストアは同101.9%と推計した。
2.注目トピック
スーパーマーケット業界の全体動向
日本のスーパーマーケット業界は、少子高齢化といった社会構造の変化に直面しながらも、生活必需品である食品を中心とした安定した需要を背景に堅調な市場を維持してきた。2022年から2023年にかけては、コロナ禍後の経済活動の再開による外出機会の増加や、巣ごもり需要の反動減が影響して、スーパーマーケット業界全体の売り上げは横ばいで推移してきた。
近年は、共働き世帯や単身高齢者人口の増加に伴う弁当・惣菜需要の高まりで、コンビニエンスストアとの競合がありながらも、収益性の高い弁当・惣菜が安定した販売を続けている。価格競争の激しい加工食品と異なり、商品領域として確立したことで、食品スーパー各社が商品の充実に注力する動きがある。また、物価高騰による生活防衛意識の高まりから、NB(ナショナルブランド)商品の販売が伸び悩む一方、PB(プライベートブランド)商品の売上が伸長する傾向が見られた。
3.将来展望
食品小売市場は2025年も好調を維持し、2025年の国内食品小売市場規模を前年比102.1%の54兆5,200億円と予測する。国内の景気は回復基調を維持すると見られるが、最近の物価上昇が消費者の購買意欲に影を落としており、消費者は生活防衛意識からより慎重な購買活動を行い、低価格志向が続くことも考えられる。
競合が激化している食品スーパー各社は、価格訴求力のみに頼らない店づくりが不可欠であり、地域生活者から安定した支持を得られるかが喫緊の課題となっている。消費者のニーズや行動様式の変化に対応するため、差別化された商品開発、顧客体験を重視した店舗運営、デジタル技術を活用した効率化と新たなサービス提供などの対策が求められている。
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調査要綱
2.調査対象: 食品スーパー、GMSを中心とした食品小売業、その他関連企業・団体
3.調査方法: 当社専門研究員による市場調査資料データ編集、ならびに文献調査併用
本調査における国内食品小売市場は、2018年から2023年までは経済産業省「商業動態統計調査」をもとに算出、2024年実績値、2025年予測値は矢野経済研究所の推計値となる。
<市場に含まれる商品・サービス>
食品小売を取り巻く環境(市場の変化、商流、商業施設における核テナントの変遷、消費環境)や業態別(百貨店、GMS[量販店]、コンビニエンスストア、中小型食品スーパー、その他飲食料品小売業)の動向、食品スーパーの収益性、スーパーマーケットの現状など
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