近年、EV化の進展とともに、熱マネジメントに求められる機能・性能も変容、高度化している。特にBEVは寒冷・高温条件における空調稼働時の電費悪化率は最大4～5割に上る場合がある。パワーエレクトロニクスの放熱・冷却、電池の加温・冷却、ヒートポンプによる車内暖房、さらには統合的な熱マネジメント制御による廃熱回収を含めた熱管理の最適化は航続距離や快適性の向上に直結し、EVの価値を左右する重要技術となりつつある。
その中で注目されるのが、SDV化に伴い搭載が進む車載SoC（System on Chip）の熱マネジメントである。AI処理やセンサ統合によって発熱密度が高まる中、車両の使用環境や演算負荷に応じた動的な温度制御が求められている。SoCの冷却は処理性能やシステムの信頼性に直結し、今やパワートレインや電池と並ぶ統合熱設計の新たな焦点となっている。
本レポートでは、主要市場におけるEV政策・環境規制の動向を前提に、今後の電動化需要を展望したうえで、xEVの中核を成す主要部品（モータ、インバータ、車載電池、車載充電器、DC-DCコンバータ）と、熱マネジメントシステムおよび構成コンポーネント（ラジエータ、電池マネジメントシステム、電動ウォーターポンプ、電動オイルポンプ、電動コンプレッサ、統合熱マネジメントシステム）の技術動向・将来展望を整理する。