特定党派による権威の絶対化、権力の独占は萎縮と停滞の温床となる


4日、「人民日報」は中国ネット企業大手「テンセント」のゲームアプリが子どもの教育に悪影響を及ぼしていると名指しで批判した。
一方、当局は、当局がアクセスを遮断している国内外のサイトや海外のSNSへのアクセスを中継するVPNサービス事業者にサービスの停止命令を出した。当局は既に微博(ウェイボー)など国内のSNS企業に対して反体制的な会話等をブロックするための措置を講じており、これにより中国ネットユーザーは完全に当局の統制下に入ったと言える。
テンセントの件は「ゲーム」の負の影響が問題視されているという点で所謂「思想統制」とは異なる。とは言え、秋の中国共産党全国代表大会に向けて「ネット」に対する当局の警戒感の現れであり、言い換えれば、事業者に対する警告、と受け止めるべきであろう。

米の名門ホテル「ウォルドーフ・アストリア・ニューヨーク」の買収で名を馳せた保険大手「安邦」の呉董事長が公の場から姿を消した。企業側の発表では「個人的理由」とのことであるが、一部には拘束されたとの報道もある。真相は不明である。しかし、呉氏のビジネスが人民元の流出に歯止めをかけたい当局の意に沿わなかったこと、また、故鄧小平氏と姻戚関係にあるという“政治的”なポジションが事件の背景にあるとも言われる。
6月29日、返還20周年を機に香港を訪れた習金平主席は「中国の主権に対する挑戦は断じて許さない」と宣言した。今、保護主義に傾きつつある米国に代わって中国が自由貿易の盟主として振る舞いはじめた。仏社会学者エマニュエル・トッドは「自由貿易は民主主義を滅ぼす」と論じる。しかし、滅ぶはずの民主主義をはじめから持たない国が進める自由貿易の不自由さは、その矛盾ゆえに世界と中国自身が抱え込む巨大なリスクとなる。

今週の”ひらめき”視点 07.02 – 07.06

代表取締役社長 水越 孝

 

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