週間ランキング

8日（日本時間9日）、投票が行われたアメリカ大統領選挙は、共和党候補のドナルド・トランプ氏が、民主党のヒラリー・クリントン氏を接戦の末破り、来年の1月20日に第45代アメリカ大統領に就任することとなりました。一夜明けた9日（日本時間10日）、クリントン氏は「アメリカは私たちが思う以上に分断されている」と落胆した様子で、しかし、自らの支持者らには敗北を受け入れるよう求めました。
アメリカで軍や公職経験のない大統領は初めてとなり、これまでの過激な発言や現実を度外視した公約が多く、外交や経済など世界的に混乱を招く恐れや日本においてもTPP発効や在日米軍の経費全額負担、応じない場合の撤退など、日米関係への影響など懸念が広まっています。
今週のニュースランキングは以下となります。
　

未来を見通すための戦略思考　～矢野経済研究所代表による今週のコメント

■独裁者と異端者、世界は2人に身構える

7日、中国の全人代（国会）は、香港の独立を支持する“本土派”議員2名の議員資格の停止を決定するとともに、ネット規制を目的とした「サイバーセキュリティ法」を採択した。“本土派”議員の資格停止は「1国2制度」の実質的な無効を暗示するものであり、また、サイバーセキュリティ法は中国国内で収集されるあらゆる情報が当局の管理下へ置かれることを意味する。

昨年7月の「国家安全法」の施行以来、習金平指導部による社会・言論統制が急速に進む。香港では昨年10月から5人の書店関係者が次々と失踪、長期にわたって中国国内で拘束されていた。9月には唯一直接選挙で選ばれた「民主の村」の前村長の実刑が確定、10月に入ると多くの知識人に支持されてきた改革派のwebサイト「共識網」、雑誌「炎黄春秋」が当局の圧力によって相次いで閉鎖、廃刊された。

10月27日、共産党の最高幹部会（6中全会）は、習氏に対して「核心」の称号を与えたと発表した。「核心」は毛沢東、鄧小平、江沢民と並ぶ“別格”の指導者を意味する。何をもって習氏は“別格”であるのか。しかしながら、彼が「核心」である以上、その理由を問うことはもはや許されない。

一方、注目の米大統領選は当初の誰もが予想し得ない結果に終わった。トランプ氏が勝った。彼は確実に変化をもたらすだろう。しかし、視界はまだ開けない。
社会を圧することで権力基盤を固める独裁者と、社会に充満・鬱積した不満によって権力の座に押し上げられた異端者、2017年、世界は少々窮屈になってゆく。

この他の注目ニュース

• インド、日本方式の新幹線、2018年着工、2023年完成
• ベトナム、日本とロシアの支援による原発建設を中止へ。財政難と住民の反発が背景に
• 2016年上期の経常黒字、10兆円代へ。9年ぶりの高水準
• トヨタ中間決算、東日本大震災以来の減益。為替変動による5650億円の営業利益の減収が要因
• トヨタ、EVの量産化投資を決定。HV、FCVへの偏重を修正
• 原子力規制委、九電「玄海3、4号機」について新基準に適合と判断、再稼動へ
• マクドナルド、通期決算見通しを上方修正、連結最終黒字は38億円へ
• ジャパンディスプレイの中間決算、売上は前期比27％減、最終損益167億円の赤字。全従業員の3割に相当する大幅な人員削減へ
• TPP、10日に衆院通過へ。野党は農相不信任案を提出か