2030年の半導体製造装置向けファインセラミックス部材世界市場は1.6兆円を突破と予測
~半導体業界の成長に合わせて、半導体製造装置向けファインセラミックス部材の市場も拡大の見通し~
1.市場概況
近年、半導体市場は半導体不足からの回復を遂げつつあり、AI機能を搭載したPCやスマートフォンの普及やデータセンターでの高性能・高効率な次世代デバイス採用拡大の影響もあり、半導体需要の拡大は加速してきている。こうした動きから、世界各国で半導体や半導体製造装置開発に向けて、国家レベルの政策による投資・補助金・税制優遇策などが展開されている。
2024年の半導体製造装置向けファインセラミックス部材世界市場(事業者販売額ベース)は、9,514億2,300万円と推計した。今後、半導体製造装置は高強度や、高剛性、高精度、耐熱性、耐プラズマ性などがさらに求められるため、部材として使用されるファインセラミックス[アルミナ(AI2O3)、窒化アルミニウム(AIN)、炭化ケイ素(SiC)、ジルコニア(ZrO2)など]自体の採用や需要の拡大が見込まれる。
2.注目トピック
多くの支援制度で日本の半導体市場の再興を目指す
世界の半導体市場は1970年頃から大きく成長しており、近年では世界各国で技術開発競争が激化している。こうした状況を鑑み、日本でも国内で半導体を生産する企業の合計売上高を約6兆円から2030年に2倍以上の15兆円へ引き上げる目標を掲げ、「先端半導体基金」や「ポスト5G基金」などの支援スキームを整備している。(データ出所:経済産業省)
半導体製造装置向けのファインセラミックス部材は対象ではないが、ファインセラミックス部材が使用されている製造装置や素材、原料を包括的に支援対象としている制度もあることから、製造装置・材料を含む広範な国内エコシステムの整備を行い、多角的な政策が実施されることで半導体製造装置向けファインセラミックス部材市場の拡大が期待できる。
3.将来展望
半導体製造装置向けのファインセラミックス部材はより高性能な素材、原料の開発が行われていることから、2025年の半導体製造装置向けファインセラミックス部材世界市場は前年比112.0%の1兆658億3,600万円を見込む。
半導体は現代社会を支えるあらゆる電子機器に搭載され、デジタル化社会を実現するために不可欠な存在である。今後も、世界で半導体製造装置における技術開発は必須であり、投資も順調に行われていることから、ファインセラミックス部材の市場も拡大していくことが期待できる。
上記の背景や2020年代後半から2030年頃にかけてのシリコンサイクル(構造的な景気循環)時期を鑑みて、2028年の半導体製造装置向けファインセラミックス部材世界市場は1兆2,320億200万円を、2030年の同市場は2025年比150%以上の1兆6,658億6,400万円への成長を予測する。
オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,980円のお買い得価格でご利用いただけます。
【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
東アジア(日本・中国を除く)
調査要綱
2.調査対象: ファインセラミックスメーカーなど
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<半導体製造装置向けファインセラミックス部材市場とは>
一般財団法人日本規格協会(JSA)のファインセラミックス関連用語によると、ファインセラミックスは「化学組成,結晶構造,微構造組織・粒界,形状,製造工程を精密に制御して製造され,新しい機能又は特性をもつ,主として非金属の無機物質。」と定義されている。
半導体製造装置向けのファインセラミックス部材は、ファインセラミックスのなかでも高い耐プラズマ性や高温耐性、高熱伝導性、高剛性などの特性を持つ部材が該当する。本調査における半導体製造装置向けファインセラミックス部材市場は、アルミナ(AI2O3)や窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、ジルコニア(ZrO2)などを材料とした部材を対象とし、事業者販売額ベースで算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
半導体製造装置向けファインセラミックス部材(静電チャック、セラミックヒーター、ドーム、チャンバー、フォーカスリングなど)
出典資料について
お問い合わせ先
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。
