プレスリリース
No.3952
2025/11/18
小売・EC物流市場に関する調査を実施(2025年)

2024年度の小売・EC物流市場規模は前年度比104.0%の9兆600億円の見込み
~運送費の上昇のほか、EC化率の伸長やセンター化の推進等、物流構造の変化を反映~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は国内の小売・EC物流市場を調査し、市場概況、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

小売・EC物流市場規模推移・予測
小売・EC物流市場規模推移・予測

1.市場概況

2023年度の小売・EC物流市場規模は、小売物流を担う物流事業者(物流専業者、物流子会社)の販売高ベースで、前年度比106.0%の8兆7,100億円(速報値)と推計した。小売業界全体の市場規模は前年度比105.6%の163兆340億円※1であり、小売・EC物流市場の前年度比6.0%増は業界全体の伸び率を上回る。
市場拡大の主な要因として、燃料費や人件費の増加に伴う輸送費の上昇や、EC化率の伸長※1によるラストワンマイル物流※2の増加が挙げられる。小売業態の物流費の内訳では、輸送費の割合が大きく、特にEC分野では輸送費が約7割を占める。消費者向けEC関連荷物の増加により、多品種・少量・小口化が進み、荷役費や輸送費が上昇し、小売・EC物流の市場規模全体を押し上げる結果となった。


※1. データ出所:経済産業省「商業動態統計」及び「電子商取引に関する市場調査」


※2. ラストワンマイル物流とは、一般消費者と物流の最終拠点を結ぶ事業者から一般消費者個人(BtoC)、一般消費者個人から同個人(CtoC)における配送サービスをさす。

2.注目トピック

改正物流効率化法の施行で変わる小売・EC事業者の物流責任

消費者ニーズの多様化、EC利用率の上昇、越境ECの拡大といった外部環境の変化により、小売業を取り巻く事業環境は急速に変化している。これに加えて、トラックドライバー不足や物流コストの上昇といった物流課題も深刻化している。こうした背景を受け、物流の持続的な成長を図ることを目的として、2025年4月1日より、改正物流効率化法※が施行された。
これまで多くの小売事業者は、メーカーや卸売事業者等から貨物を受け取る側として、物流に直接的に関わる機会が限られていた。今後は単に貨物を受け取るだけでなく、荷主として主体的に物流に携わり、物流改善をしていくことが求められるようになった。小売事業者においては、輸送や荷役作業の効率化等を通じて物流課題に対応しながら、物流コストの適正化を図っていく必要がある。


※荷主となるすべての小売事業者には、①積載効率の向上等、②荷待ち時間の短縮、③荷役等時間の短縮などに取り組むことが規制的措置(努力義務)として定められた。さらに、物流全体への寄与がより高いと認められる、年間の取扱貨物の重量が9万トン以上である特定荷主に対しては、2026年度より中長期計画の作成や定期報告などの措置(義務)が定められている。

3.将来展望

2024年度の小売・EC物流市場規模(見込値)は、小売物流を担う物流事業者(物流専業者、物流子会社)の販売高ベースで、前年度比104.0%の9兆600億円と予測した。2024年度から2026年度にかけて、小売・EC物流市場は拡大傾向で推移する予測であり、実質GDP成長率を上回る市場規模の伸びが続くとみている。
市場拡大の主な要因として、引き続き燃料費や人件費の増加に伴う輸送費の上昇や、EC化率の伸長によるラストワンマイル物流の増加が挙げられる。ただし小売・EC物流における伸び率の方が小売業界全体の伸び率より大きいということは、企業単体でみた場合の売上高に対して物流コスト比率が単純に増加していくことを示しているものではない。EC化率の伸長、小売事業者における物流への関与の拡大、物流センターや流通センター等の活用(センター化)といった、小売・EC物流の構造的な変化により、市場が拡大していくものと考える。

出典資料について

2025年版 小売・EC物流市場の現状と将来展望

発刊日:2025年09月29日 体裁:A4 183ページ
価格(税込): 198,000円 (本体価格 180,000円)
※本プレスリリースに一部のオリジナル情報を加えたショートレポートもご購入いただけます。

調査要綱

1.調査期間: 2025年7月~9月
2.調査対象: 小売事業者、物流事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査、ならびに文献調査併用

<小売・EC物流とは>

本調査における小売・EC物流とは「小売業に関連する物流」であり、対象は販売物流と呼ばれる領域となる。具体的な物流機能は、物流センターにおける保管・荷役・流通加工・包装・梱包、物流センターから小売店舗までの配送、一部小売店舗内における館内配送、消費者への配送、一連の物流に関連する情報管理等が含まれる。
​なお市場規模は、​小売物流を担う物流事業者(物流専業者、物流子会社)の販売高ベースにて算出している。そのため、商品の仕入れ代金に含まれる物流費や、物流事業者以外へ委託した場合の物流費用、小売事業者自らの事業活動の一環で行った物流費用は含まれない。また、小売事業者のグループ会社の物流事業者による流通加工は含まれるが、小売事業者自らが流通加工をする場合は含まれない。なお、小売事業者には無店舗小売店も含み、小売事業者による電子商取引(以下、EC)の物流も対象とする。

<市場に含まれる商品・サービス>

物流センターにおける保管・荷役・流通加工・包装・梱包、物流センターから小売店舗までの配送、一部小売店舗内における館内配送、消費者への配送、一連の物流に関連する情報管理等

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