巣ごもり需要という支えを失った中、物価高が需要を直撃、段ボール市場は後退局面へ
~牽引役の通販・宅配用が遂に減少~
1.調査結果概要
2024年の段ボール市場は、前年から続く物価高による買い控えの影響により、嗜好品を中心に食品の需要が減少、日用品の家庭内備蓄需要も抑制された。青果物も猛暑の影響などで引き続き振るわなかった。また、これまで段ボール需要の伸びを牽引してきた通販・宅配・引越分野が遂に減少推移となったことも響いている。
2025年に入っても段ボール生産量は減少推移が続いている。緩やかながらプラス成長していた段ボール最大の需要先である加工食品(飲料含む)向けがマイナスに転じている。物価高に伴う買い控えの影響が続く中で、下支えしていた飲料需要がやや落ち着いてきたことでマイナスに振れたものと考える。その他の需要分野においても、復調しているのは通販・宅配・引越分野程度であり、落ち着きをみせた飲料向けにおいても、2025年10月から2,200品目以上の清涼飲料・酒類が値上げされたことから、今後の需要見通しは不透明となっている。そのため、2025年通年の段ボール生産量は再び減少すると見込む。
2.注目トピック
原紙、製品同時値上げを実施、大手一貫メーカーの動きがカギに
原紙メーカーでは、2025年10月出荷分からの原紙価格値上げの改定を発表している。通例では原紙価格の改定から遅れて、半年から1年後に製品の価格改定をアナウンスしているが、今回は一貫メーカー(原紙と製品ともに生産しているメーカー)や大手段ボールメーカーが製品価格の改定を同時期に開始することを発表している。つまり、今回は原紙と製品の同時値上げとなる。
ただ一方で、2025年に入っても段ボール需要は低調に推移していることから、中堅・中小の独立系地場段ボールメーカーにおいては、積極的には動きにくい環境でもある。今回の製品価格の改定の成否は、大手一貫メーカーが製品価格の改定をどこまで進めるか、その動きがカギを握ることになると分析する。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】BCパターン
2-2.青果物分野
2-3.通販・宅配・引越し分野
調査要綱
2.調査対象: 段ボールメーカー、段ボール原紙メーカー、代理店・商社等
3.調査方法: 当社専門研究員による面接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、郵送アンケート調査ならびに文献調査併用
<市場に含まれる商品・サービス>
段ボールシート、段ボールケース、段ボール原紙
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