2021年版 カーボンナノチューブ市場の現状と将来展望
日本、中国、韓国、米国、欧州のカーボンナノチューブメーカーの研究開発動向、事業戦略、及び用途開発の状況を徹底調査することでCNT市場の現状と将来展望を把握する。
調査資料詳細データ
調査概要
調査結果サマリー
資料ポイント
調査目的:日本、中国、韓国、米国、欧州のカーボンナノチューブ(以下、CNT)メーカーの研究開発動向、事業戦略、及び用途開発の状況を徹底調査することでCNT市場の現状と将来展望を把握する。
調査対象:CNT:単層 CNT、多層 CNT(昭和電工 VGCF@含む)
アプリケーション:リチウムイオン電池導電助剤、複合材料(樹脂、ゴム等)、塗料・コーティング、等
調査方法:専門調査員による直接面接取材をベースに、文献調査を併用。
調査期間:2021年7月~2021年10月
カーボンナノチューブ世界市場に関する調査を実施(2021年)
カーボンナノチューブ(CNT)世界出荷量は2025年に1万トンの大台突破を予測
~自動車メーカー各社が電動化を加速させるなか、LiB導電助剤としての採用がけん引~
- 単層CNT、多層CNTの世界市場規模を2018年~2026年まで算出(重量ベース、金額ベース)
- 単層CNT、多層CNTのメーカーシェア(2020年)を算出(重量ベース)
- LiB導電助剤の材料別市場規模を2018年~2026年まで算出(重量ベース)
※材料別:単層CNT、多層CNT、カーボンブラック、グラフェン、黒鉛粉末 - 主要参入メーカーの製品開発・用途開発の動向を解説
リサーチ内容
調査結果のポイント
第1章 カーボンナノチューブ市場の現状と将来展望
CNTの市場規模は2020年に3,000tを超える
低価格化の進展で中国メーカーとの共存が検討課題に浮上
(図・表)CNT世界市場規模推移(重量:2018~2026年予測)
(図・表)CNT世界市場規模推移(金額:2018~2026年予測)
LiB導電助剤用途は体力勝負の側面が強まるも
競争軸を見極めた新規参入が選択肢の一つとなりうる
第2章 単層カーボンナノチューブ市場の展望
(1)市場動向
LiB導電助剤向けの需要が立ち上がり、成長スピードが加速
2026年の市場規模は100tの大台突破へ
(図・表)単層CNT世界市場規模推移(重量・金額:2018~2026年予測)
シェアトップのロシアOCSiAlに加え、韓国KORBONも設備増強を推進
中国では飛墨科技が新たに市場参入を図る
(図)単層CNT市場メーカーシェア(重量:2020年)
(表)主要単層CNTメーカー 生産体制一覧
(2)アプリケーション動向
シリコン負極用導電助剤としてのポジションを確立へ
医療・ヘルスケアなど新分野の開拓も進む
①LiB導電助剤
(図・表)単層CNT世界市場規模推移(用途別・重量:2018~2026年予測)
(図・表)多層CNT世界市場規模推移(用途別・金額:2018~2026年予測)
(表)LiB負極材 活物質別世界市場規模推移(重量:2018~2021年見込み)
②複合材料
(ⅰ)ゴム・エラストマー複合材料
(ⅱ)樹脂複合材料
③コーティング・塗料
④不揮発メモリ
⑤電界効果トランジスタ
⑥透明電極
⑦電気二重層キャパシタ電極
⑧その他
第3章 多層カーボンナノチューブ市場の展望
(1)市場動向
LiB導電助剤向けの需要が牽引し、2020年の市場規模は3,000tを超える
(図・表)多層CNT 世界市場規模推移(重量・金額:2018~2026年予測)
Cnano、Dazhanの中国メーカー2社のトップ争いが続く
(表)多層CNT 市場メーカーシェア推移(重量:2018~2020年)
(図)多層CNT 地域別需要構成(重量:2020年)
多層CNTの世界生産能力は2020年でおよそ1.2万トン
安定供給体制の強化に向け、中国・韓国で設備投資計画が目白押し
(表)主要多層CNT メーカー 生産体制一覧
日本ではサンプル供給のステージが続く
(2)アプリケーション動向
多層CNT市場におけるLiB導電助剤向けのシェアは2026年に90%に上昇
①LiB 導電助剤
(図・表)多層CNT 世界市場規模推移(用途別・重量:2018~2026年予測)
(図・表)多層CNT 世界市場規模推移(用途別・金額:2018~2026年予測)
(表)LiB 正極材 活物質別世界市場規模推移(重量:2018~2021年見込み)
LiB導電助剤市場ではペースト専業メーカーの存在感が高まる
(図)導電助剤の種別
(図・表)LiB 導電助剤 正極向け材料別世界市場規模推移(重量:2018~2026年予測)
(図)LiB 導電助剤向け多層CNT メーカーシェア(粉末・重量ベース:2020年)
(表)LiB 導電助剤向け多層CNT メーカーシェア(ペースト・重量ベース:2020年)
②複合材料
(ⅰ)樹脂複合材料
・電気・電子分野
・自動車分野
・スポーツ・レジャー分野
・その他
(ⅱ)ゴム・エラストマー複合材料
③その他
・変位センサ
・面状発熱体
・分散液・コート液
・配線材料
第4章 カーボンナノチューブ関連企業の動向と戦略
OCSiAl Group
顧客企業へのソリューション提案力を強化しGNTの可能性を追求
単層CNTで世界最大規模の量産体制を整備
2024年にはルクセンブルグでGraphetron LUXの稼働を計画
LiBシリコン負極向けの需要が本格化
塗料・コーティングやエラストマー向けでも用途開発が進む
日本ゼオン株式会社
量産技術開発から用途開発、安全性評価技術開発までを担い
CNT産業の基盤づくりに貢献
付加価値を高めたSGCNT加工品を中心に事業を展開
製造コスト低減に向け新たなプロセス技術の開発にも取り組む
シリコーンゴムマスターバッチは医療用電極パッド向けに採用が決定
シート状TIMは2021年6月に量産をスタートさせる
株式会社名城ナノカーボン
eDIPS法・ELF法といったオンリーワン技術を活かし
高付加価値用途の実用化に向けた研究開発を強化
2021年5月に信州ボルタを設立、急速充電性能等に優れた新規LiBの開発を目指す
燃料電池電極や電線、熱電素子向けの開発を重点化
ELF法による半導体型CNTはセンサー向けでの早期実用化に期待
KORBON Co., Ltd.
単層CNTの大量・連続生産プロセスを武器に
LiB市場への展開強化を図る
2022年に10t/年、2025年には100t/年へ生産能力拡張を計画
帯電防止用途の需要は底堅く推移
2021年末にはLiBシリコン負極向けの出荷が本格化へ
楠本化成株式会社
きめ細やかな顧客対応力を活かし
単層CNTを用いた製品開発をサポート
自社開発のTUBALL™分散液・マスターバッチの供給体制を整備
2022年には帯電防止床材やLiB向けの需要が本格化へ
江蘇天奈科技股份有限公司 (Jiangsu Cnano Technology Co.,Ltd.)
多層CNT粉末・ペーストを進化させ、LiB業界のニーズを取り込む
設備増強に向けた新規プロジェクトが相次ぐ
2027年には多層CNTペーストの生産能力を10万トン超へ拡大
中国でのEV販売拡大とLFPの復調を受けLiB向けの需要が急増
マスターバッチは大手樹脂・コンパウンドメーカーとの連携を強化
山東大展納米材料有限公司 (Shandong Dazhan Nano Materials Co., Ltd.)
多層CNTの有力サプライヤーとして全方位で用途開発を推し進める
LiB、樹脂複合材料のいずれの用途も需要は好調
2023~2024年に多層CNT粉末5,000t/年までの増強を計画
中国科学院成都有機化学有限公司 (Chengdu Organic Chemicals Co., Ltd. / Timesnano)
単層・多層CNT及びグラフェンの研究開発から実用化までを担い
中国ナノカーボン産業の基盤をつくる
LiB向けの需要が急増、2022年に山東省の新工場が稼働予定
焦作集越納米材料技術有限公司 (Jiaozuo Jiyue Nano Material Technology Co., Ltd.)
パワー系LiB向けをはじめとする導電助剤需要を取り込み
市場シェアの拡大基調が続く
2021年末には多層CNTペースト20,000t/年への能力増強が完了
グラフェン複合品やNMPの生産体制も整える
深圳市飛墨科技有限公司 (Shenzhen FAYMO Technology Co., Ltd.)
LiB向けに多層CNT粉末からペーストまでを一貫生産
2022年に多層CNTペーストの設備増強が完了
併せて単層CNT粉末プラントが稼働開始へ
アルケマ株式会社
スペシャリティ材料のリーダーとして持続可能な技術ソリューションを提供
欧州でのバッテリー戦略を加速させる
多層CNTのGraphistrength®はLiB導電助剤向けの展開を強化
Kumho Petrochemical Co., Ltd.
複合材料向けを中心に用途開発を推し進める
独自プロセスで高密度化を実現した多層CNTペレットの需要が堅調
コバルト系触媒を用いたLiB向けのグレード開発にも取り組む
JEIO Co., Ltd.
独自開発の連続生産設備と触媒精製技術を活用し
均一性・再現性に優れるCNTを市場に供給
2021年にLiB正極向けに多層CNTの出荷を本格化
需要拡大を見据え2024年に2,000t/年の生産体制構築へ
TPR株式会社
長尺少層CNTの高い機能性を活かし
高付加価値用途への展開を強化
幅広い分野でCNT複合製品の開発案件が相次ぐ
2022年度後半には環境貢献製品向けに量産スタートへ
戸田工業株式会社
無機材料の微粒子合成技術を応用し
低炭素社会に貢献する多層CNTを展開
DMR法による高効率水素製造システムはNEDOプロに採択され開発に弾み
2024年度をめどに最大400t/年の多層CNTの供給体制整備へ
優れた分散性や製造時のCO2フリーを優位性に多層CNTの用途開発を活発化
浜松カーボニクス株式会社
長尺、高直線性、高密度な多層CNTを活用した機能性材料の開発を支援
販売チャネル・委託製造先を拡充させ多層CNTの普及に努める
現在は熱伝導性に着目した研究開発を推進
トーヨーカラー株式会社
高度な合成・分散技術を基軸に
導電助剤から色材、コンパウンドまで幅広いCNT製品を展開
LiB向けにCNT分散体LIOACCUM®の供給をスタート
生産設備の増強を進めながら売上高200億円を目指す
CNT漆黒インキ・塗料用分散体は「ZENBLACK®」プロジェクトを推進
最終消費者に対するブランド戦略を加速させる
日本ケミコン株式会社
NEDOプロジェクトを起点とした技術の蓄積を活かし
継続的にCNTの用途開発を進める
抄紙製法によるCNT自立シートは
高速昇温性能や柔軟性・追随性を活かした面状ヒーターに展開
LiB導電助剤としてNHカーボン™とCNTとの併用を提案
複合ペーストの開発にも取り組む
大阪ガスケミカル株式会社
新たな材料事業創出に向けソリューション技術の開発を強化
CNT高濃度マスターバッチ「MARICOMCT シリーズ」を開発
均一分散による優れた導電性がユーザーから高い評価を受ける
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