今週の"ひらめき"視点
ファッション市場の構造変化にみる日本の今。内に閉じるな、外へ
1月19日、イタリアの高級ブランド“ヴァレンティノ”の創業者ヴァレンティノ・ガラバーニ氏が亡くなった。1960年代前半、フィレンツェでファッションショーを開催、イタリアのオートクチュール界の先駆けとしてのキャリアを本格的にスタートさせる。1968年には有名な「ホワイトコレクション」を発表、トレードマークとなる“V”のロゴもこの頃から登場する。
1980年代から90年代後半、“ワンランク上”がマーケティングの主流だった時代、本家にあやかった多くの“バンレチノ”が量販店に溢れた。百貨店の市場規模(日本百貨店協会)が11兆円を超えた1997年、この年の月間現金給与総額(事業所規模30人以上、毎月勤労統計調査より)は421,324円となった。しかし、ここをピークに分厚い中流層は崩れてゆく。2024年の月間給与総額は397,789円(同)、百貨店市場も6兆円を割り込んだ。この間、繊維製品小売市場も14兆5288億円から10兆9452億円に縮小、国内市場の主役は売上高を12倍へと飛躍させた“ユニクロ”に取って代わった。
一方、インポートファッション市場は1997年の1兆6612億円から2024年には2兆4714億円へ拡大、リーマンショック等による一時的な足踏みはあったものの年平均成長率は1.5%と堅実に成長している。とは言え、需要構造は変わった。バーバリーの戦略転換がこれを象徴する。2015年、バーバリー本社(英)は三陽商会とのライセンス契約を打ち切り、販路を直営店に一本化する。もちろん商品はインポートのみ、日本国内におけるシェアを捨て、富裕層とインバウンドにターゲットを絞り込んだグローバル戦略に振り切った。
果たして結果は、2024年、バーバリーの国内売上高は2015年比約2倍へ、ヴァレンティノもまた約2.5倍へ倍増させている。この10年、国内富裕層は一貫して増加、インバウンド市場の拡大もご承知のとおりである。ジャパン・クオリティを支えてきたのは国内の良質なベターゾーンマーケットである。今、内需の量的な縮小が避けられないのであれば、グローバル市場における競争力の回復こそ“安い日本”から脱する鍵だ。引き籠もっている場合ではない。
※繊維製品小売市場、アパレル小売市場、インポートブランド市場に関するデータは当社調査資料「繊維白書」、 「アパレル産業白書」、「インポートマーケット&ブランド年鑑」から引用
今週の“ひらめき”視点 1.18 - 1.22
代表取締役社長 水越 孝
