今週の"ひらめき"視点
米国への留学生、20万人減。優秀な人材を日本へ呼び込むチャンス!
2月17日、文部科学省は東北大学、筑波大学、広島大学の3大学11学部に対して外国人留学生の定員枠拡大特例を2026年度から認めると発表した。特例の認定に際しては定員の充足率、財政状況などの要件に加えて、「必須条件ではない」としながらも教育の質の向上と受け入れ環境整備にあてるための「授業料の値上げ」に関する方針が問われた。
国立大学は、それぞれの大学の裁量で決定できる授業料は“標準額53万5800円の1.2倍まで”と制限されている。しかし、昨年、国は留学生を対象にこの上限規制を撤廃、これを受けて東北大学は2027年度以降に入学する留学生の授業料を90万円、約1.7倍に引き上げると発表した。筑波大、広島大も値上げの方針を決定している。2024年、外国人留学生の総数は33万6708人、約9割がアジア圏からであり、新興・途上国からの留学希望者も増えつつある。大学は値上げ分を適切に留学生支援に投じるとともに地域と連携した支援体制づくりを進めていただきたい。
さて、こう書くと「留学生ばかりが優遇され、日本人が冷遇されている」といった声も聞こえてくる。国は、国費外国人留学生(11,157人)のための185億円を含め、留学生の受け入れ拡大のために総額271億円の国費を準備する(R7年度要求・要望額、文部科学省)。とは言え、日本人学生には給付型の奨学金が1,954億円、貸与型をあわせると1兆613億円の経済的支援が用意される(R7年度予算、日本学生支援機構)。対象者数は国費外国人留学生の180倍に相当する規模である。そもそも優秀な学生が経済的理由で進学を諦めることのないようにする制度と優秀な外国人留学生を日本に呼び込むための施策は狙いが異なる。
米商務省によると2025年の米国への海外からの留学生は127万人、前年比13.5%減となった。日本からの留学生も1割減の2万8千人にとどまった。言うまでもなくトランプ政権による移民政策と厳格な入国規制が背景にある。政府は「2033年までに外国人留学生を40万人に拡大する」との計画である。そう、今が好機である。しかしながら、本当のゴールは“40万人”のその先にある。卒業後も彼らが自分自身の未来を日本というフィールドに思い描けるような社会をつくること、ここが最終目標だ。そうあってはじめて多様な文化的背景を持った若く優秀な才能が日本の成長原資となり得る。
今週の“ひらめき”視点 2026.2.15 - 2.19
代表取締役社長 水越 孝
