今週の"ひらめき"視点
洋上浮体型データセンター、実証実験スタート。洋上風力発電との連携に期待
3月25日、日本郵船を中心とした官民連合※は横浜港大さん橋埠頭に、世界初の洋上浮体型データセンター(DC)を設置、実用化に向けて実証実験を開始した。生成AIやクラウドサービスの普及・拡大に伴いDC需要が高まる。一方、大型DCは、莫大な電力や耐災害性を確保する必要性に加えて、騒音、景観問題、建設費の高騰といった課題も指摘される。今回の実験は浮体式係留施設(ミニフロート)に太陽光発電システムを備えたコンテナ型データセンターを設置することで、大型DC固有の社会課題の解決を目指す。
実験では太陽光発電システムが採用されているが、将来的には洋上風力発電とのシナジーが構想されている。ちょうど1年前の日本郵船のリリースによると「洋上風力発電所の近くに浮体型DCを設置することで、陸上の電力系統に依存・制限されないグリーンDCを実現、地球環境の保全とデジタルインフラの成長に貢献する」とされる。
洋上風力発電は国のエネルギー基本計画において「再生可能エネルギーの主力電源化に向けての切り札」と位置付けられ、2040年度までに原発30~40基に相当するプラントの稼働が目指される。現在、30海域が候補区域に指定され、順次事業者の公募が進められている。しかしながら、第1ラウンドで秋田県の2区域と千葉県沖を落札した三菱商事連合がコスト高を理由に撤退を表明するなど、計画は決して順風満帆とは言えない。海に囲まれた日本にとって「洋上」の可能性は大きい。イノベーションの基盤となるDCの拡充と電力自給率の向上は経済安全保障の1丁目1番地とも言える。成長戦略の最重要分野として投資を加速させていただきたい。
さて、余談になるが、2008年に清水建設が発表した「GREEN FLOAT」構想を覚えている方はいらっしゃるだろうか。ゼロカーボン、食料自給、廃棄物ゼロ、4万人の住居ゾーンを備えた海に浮かぶ環境未来都市だ。筆者は何度か研究会に参加させていただいたが、とりわけ、筆者が魅かれたのはこの洋上浮体都市が固定式ではなく浮遊式であるという点だ。その後、どうなったのかな?と同社のHPを覗いてみたら、2024年にオランダで開催された浮体都市研究コンソシアムに「アジア企業として唯一参加」とのリリースが目に留まった。そうか、続いていたのか、とても嬉しく思った。
※日本郵船、NTTファシリティーズ、ユーラスエナジーホールディングス、三菱UFJ銀行、横浜市
今週の“ひらめき”視点 2026.3.22 - 3.26
代表取締役社長 水越 孝
