今週の"ひらめき"視点
未成年のSNS依存症、世界で深刻化。大人は子供たちを守れるか
5月5日、日本と欧州連合(EU)は“日EUデジタルパートナーシップ閣僚会議”を開催、プラットフォーム事業者に対する監督体制の強化、信頼性のあるデータの流通、個人情報保護、海底ケーブル防護などについて高いレベルで緊密な協力体制を構築するとの共同声明を発表した。
プラットフォーマー規制については“安全なオンライン環境”、とりわけ、オンライン上における未成年者保護の重要性が強調された。EUでは利用者の保護や違法コンテンツへの対応を既にプラットフォーム事業者に義務付けており(デジタルサービス法、2024年)、日本でも個人の権利を侵害する情報の削除を求める法律が施行されている(情報流通プラットフォーム対処法、2025年)。
しかしながら、有害コンテンツの規制だけで子供たちの権利、健康、安全を守ることはできない。無限スクロールや昼夜を問わない通知など、アクセス数に応じて収益が発生するSNS固有のビジネスモデルそのものが中毒性を誘発する有害技術であり規制すべき、との声も高まる。昨年暮れには豪州で、今年3月にはインドネシアで16歳未満のSNS利用が禁止された。仏、デンマーク、ノルウェー、トルコ、ギリシャ、マレーシアでも禁止に向けた議論が進む。日本でもSNSに起因する被害児童は1566人に達しており(令和7年、警察庁)、10代の7%にSNSの病的利用の疑いが認められる※という。対策は急務である。
人類が誕生して600万年、産業革命から200年、初代iPhoneから19年、LINEがサービスを開始して15年、ChatGPTのリリースから3年半だ。イノベーションの速度はあまりに急激で、産業構造が変わり、暮らし方が変わり、社会と個人の関係も変わった。そして、そこに馴染めない人は社会不適合とされる。見渡せば誰も彼もがスマホ片手にSNSだ。いつの日か各国のSNS規制などなんらの効果もなく、SNS依存者が世界に溢れ、やがて人類の首が15度下向きに進化した未来に、そうならなかった人はSNS適応障害などと病人扱いされるのであろうか。いやそれはご免だ。
※出所:「ネット・ゲーム使用と生活習慣に関する実態調査(2024)」、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター
今週の“ひらめき”視点 2026.5.3 - 5.14
代表取締役社長 水越 孝
