今週の"ひらめき"視点
クレジットカード決済代行「全東信」、破綻。地域経済に影響拡大
7月6日、飲食業を中心とした小規模事業者向けにクレジットカードの立替払いサービスを展開してきた(株)全東信が大阪地裁に破産を申請し、破産開始決定を受けた。負債総額は1259億円、飲食店からの手数料収入が途絶えたコロナ禍における業績不振が財務体質を悪化させたことに加え、クレジットカード会社の審査基準を満たさない店舗を不正に加盟店登録させたことで書類送検されるなど、経営の根幹は揺らいでいた。
クレジットカードによる決済から入金までのタイムラグを短縮する同社のサービスは仕入支払いが先行する飲食店の資金繰りを支えてきた。20万店※を超える加盟店は売上金の回収リスクとクレジットカード決済の停止による機会損失という二重の危機に直面する。信用調査大手の東京商工リサーチによると「2026年上半期における飲食店の倒産件数は過去最多」とのことであり同社の破綻がこれに輪を掛ける可能性がある。
このニュースで更に驚かされたのは、同社ではそもそもコロナ以前、20年以上も前から架空債権の計上、預金の水増し、未払立替精算金の未計上といった会計不正が行われており、長期にわたり実質的な債務超過状態にあったということである。地域経済を支える小規模飲食店等に対する間接支援という意味もあったのであろう、同社に融資してきた地方の金融機関も一斉に引当処理に動いており“今年最大の大型倒産”の影響は各所に波及しつつある。
オルツ、ニデック、エア・ウォーター、そして、KDDIグループ、、、スタートアップから大手上場企業まで会計不正が絶えない。6月22日、日本公認会計士協会はこうした事案を踏まえ、米国SOX法型の「確認書」制度を導入すべき、と提言した。米国では有価証券報告書の記載内容の適正性を経営者が確認したうえで宣言書を作成することになっており、虚偽記載があった場合、刑事罰の対象になる。上場・非上場を問わず業績の粉飾は株主、取引先、顧客、従業員はもちろん社会に対する背信行為である。「経営者の規律向上を図るべき」などと公認会計士協会から指摘されることのなきよう襟を正したい。
※全東信HPによると2018年に加盟店20万店を達成したと記載されているが、現時点における加盟店舗数は不明。
今週の“ひらめき”視点 2026.7.5 - 7.9
代表取締役社長 水越 孝
