今週の"ひらめき"視点
JAXA、再使用型ロケット、実験成功。次は8月7日、“みちびき7号機”
7月11日、JAXAは三菱重工をパートナーに開発を進めてきた再使用型小型実験機RV-Xの飛行試験を秋田県能代ロケット実験場で実施、同機は約11メートル上昇、そこから水平に約16メートル移動した後、計画どおりの地点に着陸した。JAXAはフランス国立宇宙研究センター、ドイツ航空宇宙センターとロケットの第1段目の再使用を目指す共同プロジェクト「CALLISTO(カリスト)」を進めており、今回の実験で獲得した技術は仏領ギアナの宇宙センターから打ち上げが予定されている実験機の開発にフィードバックされる。
回収・再利用型ロケットの実用化はイーロン・マスク氏率いるSpaceX社、ジェフ・ベゾス氏率いるBlue Origin社が世界に先行する。彼らの背中は遥かに遠いが日本では本田技研工業もサステナブル型ロケットの開発に挑んでいる。HONDAは2025年6月17日、北海道大樹町の実験場で全長6.3メートルの機体を高度271.4メートルまで上昇させ、誤差37メートルの精度で無事着地させた。英人形劇“サンダーバード1号”の基地帰還を彷彿とさせる映像に感激した読者も少なくないのでは? HONDAは2029年に準軌道への到達能力の実現を目指す。
観測、測位、通信を支える人工衛星システムは今や社会に不可欠な基盤インフラであり、先進国から途上国まで宇宙利用のニーズは拡大している。一方、人工衛星の製造はもちろん、ましてやそれを宇宙へ運ぶ能力を有する国、企業は限られている。宇宙輸送市場における競争は熾烈だ。打ち上げの安定性と低コストは必須の要件であり、RV-Xの成功は“未来の宇宙輸送市場における有力プレーヤー”への可能性を示すことができたという意味において重要なマイルストーンとなった。
気象、交通、医療、金融、物流、防災から安全保障まで、宇宙利用の多様化に伴い全球測位衛星システム(GNSS)に対する要求精度はますます高くなる。日本は米GPSを利用しつつ、都市部や山間部におけるGPSの機能補完と更なる高精度を実現すべく2018年から準天頂軌道衛星システム“みちびき”を運用している。筆者はかつて“みちびき”に先行した“きく8号(ETS-Ⅷ)”プロジェクトに参画、衛星ニーズに関する調査を担当させていただいた。宇宙の彼方ほど遠く離れた古い友人の一人として、“みちびき”単独での測位が可能となる7機体制の実現が待ち遠しい。H3ロケット9号機による“みちびき7号機”※の打ち上げは8月7日(金)4時30分~6時00分とのこと、成功を祈る!
※みちびき5号機はH3ロケット8号機の打ち上げ失敗により喪失、現在は5機体制で運用されている
今週の“ひらめき”視点 2026.7.12 - 7.16
代表取締役社長 水越 孝
