今週の"ひらめき"視点
GDP4-6月期、3四半期連続のプラス。個人消費の底上げが課題
8月17日、内閣府は4-6月期の国内総生産(速報値)を発表した。実質成長率は前年同期比+0.3%、年率+1.1%、名目成長率は同+1.2%、年率+4.8%、金額換算では実質598兆円、名目688兆円となる。政府は「引き続き中東情勢の影響を注視する必要がある」と前置きしつつも、3四半期連続でのプラス成長について「景気は緩やかながら回復基調にある」との認識を示した。
ただ、内訳をみると必ずしも楽観できない。内需は▲0.2%、民間需要、公的需要いずれもマイナス、これを外需が補った。輸出から輸入を差し引いた外需は+0.5%、中東情勢の悪化に伴う原油輸入の減少と財貨・サービス輸出の伸びが外需を押し上げた。一方、民間最終消費支出(個人消費)は▲0.02%と冴えない。とりわけ、持ち家の帰属家賃を除いた家計最終消費支出は▲0.1%と低調だ。
この春、大手・中小ともに賃上げ率は高水準だった。実際、毎月勤労統計調査(6月速報)の現金給与総額は前年比+3.4%、家計調査でも勤労者世帯の実収入(二人以上世帯、6月分)は名目+3.9%、実質+2.0%となった。ところが、消費支出は名目▲1.5%、実質▲3.3%、実質ベースでの前年割れは7か月連続だ。物価高、社会保険料の増加、住宅ローン金利の上昇、“現役世代”の負担感は高まる。加えて、年金に依存する彼らの“親世代”の購買力もマクロ経済スライドにより実質的に目減りする。全世代で消費が「抑制的」になって然りである。
一方、日経平均株価は最高値を更新、公示地価は5年連続で上昇、経団連が集計した大企業の夏季賞与の平均妥結額は初めて100万円を超えた(従業員500人以上、22業種163社)。まさに好景気だ。では、低迷する個人消費は一体どこに? この夏、筆者はシティバンクのトップトレーダー“ギャリー”の壮絶な半生を回顧した「トレーディング・ゲーム」(ギャリー・スティーヴンソン著、千葉敏生訳、早川書房)を読んだ。そこにこんな一節がある。「平凡で勤勉なふつうの家庭の冨が、金持ちにわたる」「中流階級や政府が貧しくなるほど、金持ちは豊かになる」「答えは格差だ」「それは一時的なものでなく末期症状だ。経済の死だ。癌だ」。“ギャリー”はそこに賭け、大儲けする。
今週の“ひらめき”視点 2026.8.16 - 8.20
代表取締役社長 水越 孝
