今週の"ひらめき"視点
2025年の出生率、過去最低。人口減少を前提とした国土の再構築を
8月28日、厚生労働省は人口動態統計速報を発表、2026年1-6月期の出生数は342,068人、前年同期比+0.8%、上半期としては11年ぶりに前年を上回った。出生率※はコロナ禍による婚姻数減の影響を受けて2022年から2024年にかけて前年比▲5%台の減少が続いてきたが、2025年は▲2.2%と下げ止まった。2024年以降、婚姻数が持ち直したことが背景にある。
とは言え、出生率1.14は過去最低、前年比マイナスは10年連続だ。2023年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計人口の中位推計は2025年の出生率を1.25に置いていた。悲観シナリオとされた低位推計は1.10、現実はむしろこちらに近く、出生数の減少トレンドは中位推計に対して15年程度先行している。出生数と死亡数の差である自然増減は19年連続でマイナス、2025年は2年連続で▲90万人を超えた。人口減少に歯止めはかかっていない。
こども家庭庁はこの5月から8月にかけて15歳から39歳までの男女を対象に「若者10万人の総合調査」を実施、8月31日、その途中経過を公表した。設問は生活満足度や社会参画意識など広範に及ぶが、結婚に関する集計結果には驚かされた。未婚者のうち「結婚するつもりはない」との回答者は35.1%に達する。“収入への不安”や“自由時間の減少”が結婚に対するハードルの上位にあがるが、そもそも「結婚したいと思わない」との回答がそれらを上回り、「結婚するつもりはない」人の53.1%、未婚者全体の18.6%に達している。既に若者人口が減っている現状にあってこれでは出生率は上がるまい。
2021年、国土交通省は「国土の長期展望」の最終とりまとめを発表、2050年には居住地域の約5割が少子高齢化地域となり、全市区町村の約3割が人口半数未満となること、全人口の7割が災害リスクの高い地域に居住していることを前提とし、「コンパクト+ネットワーク」による持続可能な地域づくりの必要性を訴える。人口減少を所与の条件と受け止め、そのうえで地域の豊かさを実現する必要があるということだ。首都の優位性、東京の経済力、TOKYOの先進性の取り込み競争(副首都構想)では解決しない。優先すべきは“多様な豊かさ、多彩な個性をもった新たな地域生活圏の形成”と“自然災害と人口減少に応じた国土の適正管理”である。
※出生率(合計特殊出生率)とは、1年間における15歳から49歳までの女性の各年齢別の出生率を合計した数値で一人の女性が一生に産む子どもの数の平均値。人口を維持するためには2.07が必要となる。
今週の“ひらめき”視点 2026.8.30 - 9.3
代表取締役社長 水越 孝
